前作シュタインズ・ゲートはゲームで遊んだ。
アドベンチャーゲームで一番好きなゲームだ。今作は、前作における、いわゆるトゥルーエンド「シュタインズ・ゲート」ルートに至る空白部分を補完する、シュタインズ・ゲートの完全な続編である。
シュタインズ・ゲートは、空想科学アドベンチャーと題された一連のシリーズの中で、おそらく一番評価が高く、スペンオフ作品がもっとも多く発売されたと思う。その全てをプレイしたわけではないが、個人的にそのどれもが、本編シュタインズ・ゲートに比肩する出来ではなかった。出来の良い物語の続編は、期待する気持ちもあるが、ビジネス的判断によるもので、蛇足であることも多い。
今回、アニメ版を見たのは、レビュー欄のネガティブな感想の多くが「前作と同じくテンポが悪い」とあったからだ。シュタインズ・ゲートの良さはそこだと思う。前半から中盤にかけての丁寧な設定、人物描写。後半の急転直下の展開が見どころだ。
シュタインズ・ゲートの素晴らしいメッセージは、人の行動に無駄な事など一つもない、と言うことだ。冗長に思えるようなエピソードの一つ一つが、「シュタインズ・ゲート」へ至る大切なステップなのだ。
シュタインズ・ゲートの世界では、時間の流れは一つ。タイムマシンや時間遡行メールによって歴史が変わると、特殊能力を持つ者しか別時間軸で起こった事は忘れてしまう。かけがえのない記憶は、主人公と、観測者である僕たちの中にしかない。そこに儚さを感じる。
テンポが悪いと思った人は、そう言う観点でもう一度、鑑賞してみてはいかがだろうか。
タイムマシンモノの常で、タイムパラドックスもあり、設定矛盾も多くあるが、それをあーだこーだ言うのも楽しみの一つとしよう。