今更ながら、ファイナルファンタジー15をプレイしています。
発売当初、荒れに荒れた不評価レビューを悪趣味にも僕は非常に楽しみ(この時にストーリーはあらかた知ってしまった。エンディングも見た)、ワゴンセール化とアップデート・完全版を待ってから購入しようと考えていました。
中古屋でROYAL EDITIONを見つけ、通常版と同じ価格なのを見て、購入したのですが……。
まさかROYAL EDITIONとは、追加コンテンツを収録したディスクを新たにプレスしたものではなく、プロダクトコードを入れただけの粗雑な(しかし商売としては美味い)パッケージだったとは!!
つまり、この商品、ディスク自体は通常版と同じ……むしろ余剰在庫をリサイクルしただけなのでは? PS4にディスクを入れると何十GBという容量をアップデートすることに……。
そして、プロダクトコードも使用済みで、つまるところ通常版と変わらずでした。アマゾンで通常版が、自分の購入した中古よりも安い値段で販売されているので……うーん、なんか損した気分だぞ!
まず、僕が把握しているファイナルファンタジー15の低評価の理由を書きましょう。
- キャラクターデザイン・性格(ナヨナヨした気持ち悪いモーション、ホスト顔、無気力系、メインプレイアブルキャラが全員男、舞台とファッションが不一致)
- ストーリーの破綻(キャラの行動理由が説明不足、いつのまにか退場してしまった人、空気を読まない発言……悲劇的なシーンの直後に陽気な発言等、DLC前提の穴だらけのストーリー、かさ増しとしか思えない冗長なダンジョン)
- バグの多さ・未完成で出荷?(ユーチューブなどで、検索すると腹を抱えて笑える優秀なコンテンツとなっています)
現在10時間未満のプレイなんですが、アップデートされたこともあってか、僕は結構楽しめているんですよね。そんなに悪いゲームじゃないです。広大なマップを旅する感じは、北アメリカ大陸を横断しているかのようです。もちろん、この部分が15でまともに評価されている部分ということも理解しています。ここからひどくなるんだぞ、と。
それでもネットに溢れている悪評、「クソゲー」呼ばわりされるようなゲームではないと思いました。
なのにどうして、こんなに悪く言われるのか。
それはFF15がクソゲーなのではなく、スクウェアエニックスがクソ企業だからじゃないでしょうか。
そもそも15の出自は不幸でした。その前身はFF13ヴァルサスと言い、「FABULA NOVA CRYSTALLIS 」という作品群の中に組み込まれた作品でした。
しかし開発が長引き、ゲームの中でも特に長い10年という開発期間の中でコアスタッフにいたるまで変更され、FF13ヴァルサス要素と新生15の要素が、チグハグな醜悪なキメラとなっていきました。
ここで完全にFF13ヴァルサス要素を捨てる覚悟があれば良かったのだと思います。
誰がどう見ても、スタンド・バイ・ミーやイージーライダーを彷彿とするロードムービー要素と、痛い発言を繰り返す中二病ファッションのホスト顔の王家を巡るストーリーは、独特ですが不一致極まっています。
スタッフ達は、長い開発期間の中で客観性を失い、強い言葉で自分たちを欺瞞し鼓舞するしかなかった。
本来クオリティチェックする立場にあるスクウェアエニックスという企業は、ファイナルファンタジーという日本を代表するタイトルを大事にすることよりも、かつて人気があったタイトルを殺し続けたように、10年に及ぶ開発期間に積み重なった膨大な開発費回収を優先した。
そして「ファンのため」という言葉は……金儲けのためのマーケティングワードとなった。
バグだらけの状態で出荷したのもカネのため。
穴だらけDLC購入しないとストーリーの全容が知れないのもカネのため。
ネット環境がなければ、ただの紙屑にしかならないROYALEDITIONもカネのため。
書かなくても作品だけで伝わることをいちいちPRするのもカネのため。
舞台が北アメリカ大陸っぽいのも北米市場に向けたゴマすりに思えてきます。
「(金儲けのためなら)ここまでやるのがFFだ」
「(会社にとって)必要なことはやりつくした」
これが真実のメッセージ。
故にプレイヤーは怒るのです。
肝心のゲームプレイについて評価しましょう。
確かに、キャラクター達は気に食わない部分が多いです。
歩行モーションひとつとっても脇の仲間をチラチラ見ながら、ナヨナヨしていて気持ちわるいです。
ランダムで再生される会話もTPO完全無視で、漫才のよう。
「行くぞ、グラディオラス!」
「おうよ!」
「だるいな」
「そうだな」
これってプログラム制御でなんとかなったと思うんですよ。要するに、イベントや行動に喜怒哀楽の感情パラメータを振ればいい。
そして次のメッセージは、そのポイントが溜まった状態にならないと再生されない。街を出る瞬間は、喜のポイントが増え、悲しいイベントの後は悲、探索が長引くと苦とかなど。
キャラクターに、生命感、魂を感じない事が多いです。「とどめ!」と言う割には敵がピンピンしているなど。ドンピシャなタイミングでセリフ言ってくれると、気持ちいいのになぁ。
評価すべきところは、舞台です。
広大な大地、寂れたモーテル。
悲しいのは、この舞台とキャラクター、ストーリーが不一致すぎる。
プロンプトが勝手に撮影してくれるシステムはすごく良いのに、悲劇的なイベントでは、「そんなところで何撮影してんだよ」ってなる訳で、撮影してくれない。これって良くない。
人によっては冗長な演出(車での移動、キャンプでのやりとり)を感じるかも知れませんが、旅情を感じて自分は結構すきです。
UIも悪くないです。
くどいですが、ゼノブレイド2に比べると雲泥の差。
僕はプレイしながら、違うストーリーを妄想する暴挙に出ました。
やっぱり舞台がアメリカっぽいので、アメリカが抱えるコンプレックスを題材にしてはどうでしょうか。
たとえば、移民の国であるアメリカは自分たちのルーツの喪失と、征服者としての原罪を抱えています。
ここから僕の妄想。
世界一の大国インソムニア合衆国は「建国2018年」を迎え祝賀ムードであったが、冷戦状態にあるニフルハイム帝国に「大量破壊兵器」の存在が確認され、国連では弾圧されるニフルハイムの少数民族が悲惨な現状を涙ながらに訴える……(外国の少数民族なのに、妙に流暢なインソムニア語であったが、誰もその違和感を今は訴えていない)。戦争を予感する不穏な空気が醸し出していた……。
インソムニア合衆国の最東端の州に住む無気力系痛い発言が目立つ少年「ノクティス」はある夜、不思議な夢を見る。
夢の中に登場した少女「ルナフレーナ」は、自分たちがこの大陸の原住民である「神凪族」であり、インソムニア合衆国は部族の秘宝である「クリスタル」を奪い、魔法「ファイナルファンタジー」にて、この世界の歴史を改変した、と言う。この世界の夜に跋扈する「シガイ」とは、改変された神凪族。ルナフレーナは、ノクティスにクリスタルと対となる「指輪」を渡し、西の果てにいる私に会いに来てと言い残した。
夢から覚めると、ノクティスの手には指輪があり、彼はシフトや魔法(現実改変の能力)に目覚める。そして近所の悪ガキの3人とつるんで、父親の車を盗み出し、大陸横断の旅に出る。
旅をしながら、車のガス代と生活費を稼ぐため、各地でモブ狩りなどのハンター業をしつつ、原住民たちのパワースポット(標)でキャンプし、残留思念から隠蔽された歴史を知る。ときには、遺構などで足跡を知る。グラディウスは車で本を読んでるのが印象的だったので、考古学マニアでダン・ブラウンの小説のようにイコンからいろいろウンチクを話す。旅の途中で、原住民の王たちの武器「ファントムソード」を回収する。
一方、インソムニア合衆国には歴史改変を秘匿する秘密機関があり、名前は通称「タークス」という(いいだろ、このファンサービス!)。連中は、ひょんなことからノクティスたちの危険性を察知し、彼らを追う。タークスのリーダー「アーデン」は、実は原住民の血を引く者であり、自分がこの大陸の正当なる王であると考えており、合衆国の裏で暗躍、実は王の証であるファントムソードを集めていて、その意味でもノクティスと衝突する。
……という展開。
素人の妄想ながら、悪評の多い本来のストーリーよりずっとスッキリしていないでしょうか。ワクワクするようなジュブナイルストーリーでありながら、現代アメリカを風刺した内容……。
海外開発の慰安婦問題を題材にしたゲームが日本人にウケるか、と言われたら否ですし、セールス的には難しそうですが。
時間ができたら、「小説家になろう」なんかに書いてみようかな!
あと最後に指摘。
グラフィックについてなんですが、リアリティを追求しているのだと思いますが、キャラクターの瞳にハイライトはしっかり入れて欲しい。
加工前
加工後
ほら、これだけでシドニーちゃんめっちゃかわいい。