PIRATE 3D / BUCCANEER
紆余曲折、波瀾万丈でしたが、とうとう手元に届いた3Dプリンタです。
入手までの経緯は、過去記事を遡ってください。
今回は製品そのもののレビューとなります。
*できれば、この記事は純粋な製品レビューにしたいと思っています。
輸入代行業者の件についてのコメントは、コチラ(前回記事)でお願いします。
◯製品の概要
バッカニアは、クラウドファインディングのキックスターターにて、投資額350ドルという他にはない低価格がウリで、かなりの早さで目標額に達成、製品化が約束された3Dプリンタです。
製品化した現在の価格は、当初予定されていた価格帯に届かず、スペック相応という感じに落ち着いた印象をうけます。
また、出力可能なOSは、当初「Windows、Mac、Linux、iOS、Android」とアナウンスされていましたが、クラウドファインディング製品にありがちな仕様変更なのか、現在のところ、「Windows、iOS、Android」が対応しています。
もしかしたら、のちのち対応していくのかもしれませんね(本家サイトではMacBookが使われてますし……)。
あとは、同梱ソフトウェアにCADも付属するとのことでしたが、こちらも付属していませんでした。
後述しますが、付属する「Treasure Island」というソフトウェアに一般公開されたCADデータや、作ったSTLファイルを読み込ませることで、出力できます。
◯外寸・重さ・スペック等
外寸は、258mm(奥行き)×258mm(幅)×440mm(高さ)。デザインのモチーフになったと思われる、パワーマックG4キューブの印象でいたら、ちょっと目を剥く大きさです。
重さはスペックシート上では、8キロ未満となっています。
外装は、上部は一見金属に見えますが、下部も含めてポリカーボネート製。
出力サイズは最大で145mm(X)×125mm(Y)×150mm(Z)です。一体成型でフィグマくらいの大きさのフィギュアは出力できそう。
積層ピッチは最小で50μ。0.05ミリメートルってことかな?
フィラメントはPLA樹脂です。低い温度で溶けるため、出力時のニオイが少なく、植物由来なので、土に還ります。デメリットとしては、成型後も熱で変形しやすいのと、削りなどの加工性の悪さ、塗料が馴染みにくいとされている等です。
◯起動する
バッカニアは非常にシンプルです。起動には、コンセントを挿して通電させるのみです。
スイッチはありません。起動時にはいいのですが、電源を切るときは、そのまま抜くだけなので、急に電力を断ってよいのか、ちょっと気になります。
◯接続
スイッチもなければ、物理的ポートもありません。
接続はWIFIを通します。
最初にバッカニアのシリアルナンバーを入力して、ネットのアクセスポイントのように接続してから、普段のルーターに接続して同期完了です。
iPhoneでは最後までうまく行かず、家族用のWindowsPCで同期しました。
◯フィラメントの交換について
成型テーブルは、粘着シート式です。
フィラメントの端は45度にカットし、筐体上部に付属のフィラメントを挿入します。
PCを操作してフィラメントをノズルにセットさせます。
次は、ノズルと成型テーブルとの間がツライチになるようにアライメントします。自動ではなく、手動操作でテーブルを動かします。操作は端末を通してしますが、フィラメントの交換とアライメントだけはiPhoneでできたので、手元でできる分、こちらの方が楽です。ノズルヘッド小さいし、隙間せまいので、老眼が進んだ僕にはツライです(老眼は生まれた瞬間からはじまっているんだぜ!)
一応、フィラメントの交換をひと通りやっておきたくて、セットしたフィラメントを一度外しました。ところが、再セットができず、ヘッドを取り外すはめになりました。
基板むき出しで脆そうですし、僕は機械好きですが、恐れず触ってしまうせいで壊し屋なので、すごく緊張しました。
結果的には取り外す必要はなく、きちんとフィラメントが奥まで届いていないせいでした。イージーなミスですが、この手のものは初めて触るので、勝手がわかりません。自分の入手経路的に、修理サポート等は期待できそうにないので、本当に焦りました。
初めての出力は、付属のソフトに公開されている鉄男風のペンダントトップです。
早く仕上がりが見たかったので、積層ピッチは200μ。
それでも厚み1m程度で15分くらいかかりました。
僕としては、仕上げは別におこなうつもりなので、積層ピッチは最大の340μで、効率化を図りたいところ。
次に自前のSTLファイルを出力しようとしましたが、これはできませんでした。
推測ですが、下の写真のデータ容量は60MBを超えていました。おそらく、出力できるデータ容量があるのかもしれません。
検証用に600KB程度の単純なオブジェクトを出力してみましたが、こちらはできました(フィラメントがもったいないので、途中でキャンセル。
◯ブリムとラフト
出力物が反り返って変形しないように、成型テーブルに接着するサポート材の方式が2種類あり、ラフトはその名の通り、イカダのように成型物をのせるようなテーブルを作って、その上に出力します。
この戦車も一般公開されていたもので、出力ピッチはもっとも低い340μです。さすがに砲身部分はキチンと成型できていません。
ブリムは、選択して出力したら理解できました。
メイドさんの頭の上にのってる飾りは、ホワイトブリムっていうらしいですね。
◯まとめ
お試し的に出力してみました。
夢のあるガジェットです。
思っていた以上に制限がありましたが、そのあたりを探っていくのも楽しいです。
出力のスピードの遅さがネックですね。
量産には向かないと思いました。
ひとまず、フィラメントが安定供給されるのを待って、それまで出力データを仕込もうと思っています。
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