信じられないけれど、Apple創業者で元CEOのスティーブ・ジョブズが亡くなった。CEOの職を8月に辞してからも、今後Appleの重要な決定には関わっていくとの表明を発表していた。
前日のiPhone4Sの発表を見とるかのように、彼は息を引き取った。
故人に酷い言い方かもしれないけれど、なんて完璧なタイミングの死なんだろう。
自分が創業したAppleを追い出され(半ば自らだったようだけれど)、それでも自分の理想を追記するため起こした会社NeXTのOSがMacOSXとして採用され、今回のLIONが最後のMacOSXとして目されている。
そして、Appleに復帰し、暫定CEOの暫定がとれて間もないころ、「PCは死んだ」という言葉に対して、「デジタルハブ」という、PCがあらうる電子機器の中継デバイスになるという構想を打ち出した。
その自らが発した構想も彼は、iCloudの発表を自ら受け持つことで、自分で過去のものにした。
今後、湿っぽい追悼や哀悼の物語がどこそこで行われるだろう。永遠に失われてしまったことに対して、悲観的な意見やAppleおわた、とか言われるかもしれない。
けれど、本当に優れた指導者の意思はいつまでも残る。
ジョブズが最初にAppleを離れた時、それでもAppleの社内は、ジョブズの痕跡が、気配があったそうだ。
今後もAppleは、ジョブズだったら、どう考えるか。ジョブズならどんな商品が欲しいか。そんな風に考えて製品を作るはずだ。そして、たとえシェアが増えたとしても、少数派のための製品、世界を変える変人・偏屈のための製品を作り続けるはずだ。
僕の記憶に残る、ジョブズの最後のプレゼンは、市に対するApple新社屋のプレゼンである。「スペースシップ」とあだ名された新社屋。今、一つの時代が終わって、新しい宇宙に飛び立つ宇宙船。再び宇宙にガツンと凹みを作らんとする人たちを載せた宇宙船だ。
その宇宙船の中で、彼は永遠に「有能な暴君」として存在し続ける。