危険なダンジョンに潜ってアイテムを仕入れ、お店でそのアイテムを売って、店を発展させ、武器を強化して、より難しいダンジョンに挑戦するという、ショップ運営シュミレーション+ローグライクアクションゲームを融合させた意欲作「ムーンライター 店主と勇者の冒険 」のレビューです。
現在プレイ時間は13時間。まだ4つ目のダンジョンです。終盤だと思います。
対応プラットフォームは、 Nintendo Switch、 PlayStation 4、 Xbox One、 Microsoft Windows、 Linux、 Classic Mac OS。
プレイヤーは、今は寂れてしまった街リノカの老舗のお店の若き店主。この街は、かつてダンジョン探索に栄えていたが、危険すぎる故にダンジョンが閉鎖されてしまいました。主人公には、ダンジョンで行方不明になってしまった先代店主の父がいますが、彼もまた父と同じ夢、全てのダンジョンを開放することを望んでいます。
4つのダンジョンをクリアして、最後のダンジョンの扉を開けてクリアが目的……ですが、ダンジョンは一つずつ開放されていくので、実質一本道です。
ダンジョンパート
ダンジョンパートは見下ろし視点のゼルダの伝説 神々のトライフォースを彷彿とするアクションRPGです。
敵を倒してお宝ゲット。
部屋の敵を掃討すると宝箱からアイテムが手に入ります。
宝箱のアイテムは価値が高い反面、様々な呪いがかけられている場合があります。敵の攻撃で壊れる、リュックサックの置き場所に指定されている、正体不明など。逆に呪いを解くという効果があるものもあります。
荷物はすぐに満タンになってしまいますが、商人のミラーというアイテムを手に入れると、その場で換金することが出来ます。
ダンジョン内でライフが無くなると、リュックの中のアイテムは全ロストしてしまいます。装備と手持ちの荷物は残るので、価値の高いアイテムはソート機能を使って確保しましょう。
気を失っても、強制退場ではなく、もう一度挑戦することができます。
階層の最後には中ボス。
ダンジョンの最下層には巨大なボスが待ち構えています。
いきなりクリアは難しいので、アイテムを持ち帰り、換金して回復アイテムを作り、武器を新調、エンチャントで強化していきます。
ショップ経営パート
ダンジョンから無事生還を果たしたら、ショップにアイテムを並べ、値付けします。値段は適正価格が決まっていますが、これは顧客の反応を見て探っていきます。
適正価格はこの反応。
高すぎる場合は、怒って帰ってしまいます。
安すぎた場合。
多少高くても問題なく買っていく富豪、商品を盗む人もいます。万引き多すぎぃ!!!
顧客の反応は、手帳に記されます。
あまり同じアイテムばかりを売っていると、人気度が低下して、市場価格が落ちていきます。
店と村を発展させる
お店はどんどん拡張することができます。
ベッドやチェストなども強化することができます。
アルバイトも雇えるようになります。
施設を誘致して、村を発展させます。施設は冒険にも役立ちます。
武器を作ってくれる鍛冶屋。ダンジョンで手に入るアイテムと金で強力な武器を作ってくれます。欲しいものリストに登録すると、必要アイテムにバッジがつくので、誤って売ってしまうのを防いでくれます。
装備によって見た目も変化。
錬金術のお店では、ポーション作成と武器防具の強化(エンチャント)をしてくれます。
エンチャントは武器を新調しても引き継がれないので、特に武器は三段階エンチャントできますが、お金の無駄にならないように必要な分だけ強化します。
良い点
作り込まれたグラフィック
本当に素晴らしいです。アニメーションも細かくて、グラフィックだけでも買いです。たしかクラウドファンディングで出資を募った作品だったと思いますが、たくさん出資者が集まったのも納得のピクセルアートです。きちんと完成させたのも素晴らしいです。枠線がなくて、淡い色付けが特徴的。
BGM
とくに街の音楽は、寂れゆく集落の哀愁が漂っていて、頭の中で鳴り響くくらい印象深い曲です。
難易度、ダンジョンのボリューム
自分は下手くそなのでノーマルでやっていますが、ダンジョンが長すぎず短すぎずで丁度良いです。
良くない点
戦闘の手触り感が良くない
ちょっとぎこちなく感じました。攻撃モーションに斜め方向がないのが問題なのかも。大きな違いのない武器の種類を増やすよりも、もっとなめらかに攻撃して欲しかったです。
武器の種類を増やすなら、もっと違いをはっきりとして欲しかったですね。斬る、突く、打撃の属性があるとか。面白くするというよりも、グラフィックとして描きたかったというエゴに感じました。ハイパーライトドリフターのほうが、アクションは良いですね。
アイテム価格がインフレしすぎ
ダンジョンが変わると売値が軽く一桁変わってきて、クリアしたダンジョンの意味がなくなります。住人のクエストなどあるけど、無視して普通に潜ってリュック満タンにしたほうが儲かります。コツコツとした作業感がないんです。リュックの中身が圧迫すると取捨選択に悩み、すこしでも稼ぎをよくしよう……という葛藤がない。大味にプレイしてなんとかなってしまう。
経営と冒険の要素のつながりが乏しい
ぶっちゃけると、お店の経営、お店と村の発展を無視してもなんとかなりそう。
武器さえ強くすればなんとかなる。そのためのお金の入手は、ダンジョンから帰らなくても、商人のミラーに手に入れたアイテムをぶちこんで、死んでもう一度プレイをくり返せば良い。これで時間経過なしで無限に稼げる……はず。
ショップを経営する必然性が弱い。経営と冒険の2つの要素が複雑に絡まり合いお互いがシナジーすれば、すごい中毒性になったのに。この部分があまりにももったいないと感じました。
自分は、終盤までお店の強化に気づいてなくて、そのせいで施設の誘致のアンロックもできず、融資やショップの飾り立ての要素を使わなかったけど、なんとかなってしまいました。
もうすこし、これらの要素をゲームプレイと綿密にからませて欲しかったです。
総評
めちゃくちゃ惜しいゲームです。面白いコンセプトだし、グラフィックが良いので、とても期待していただけに残念。
ローグライクの中毒性という点では、弱いゲームだと思いました。あれをやれば、お金が足らず、アレもやりたいコレもやりたいってならない。レベルデザインが良くないんだな。
アイテム価格のインフレによって、すごく簡単にお金が稼げてしまうの一つの問題です。
また、商人のペンダントという帰還アイテムが、お金によって発動するのがよくないのだと思います。そのせいでダンジョン内でお金を稼ぐ必要がある→商人のミラーというアイテムでお金が稼げる→ショップ経営する必然性が低くなる……という良くない循環です。ダンジョンはそれほど長くないので、帰還ポイントを設定するだけで良かったのでは。そして、力尽きたら強制退場のほうがよいと思いました。
やりこみ要素がないというレビューを見ましたが、ボリュームを増やすよりも、もっと緻密なゲームデザインがなされていれば……と個人的には思いました。
あと、街の雰囲気がよいので、住人との交流などもあればよかったですね。くだらないお使いクエストではなく、村人との交流、結婚イベントとかさ。先代店主のお話の方が面白そうでした。行き倒れを拾われてお互い一目惚れして、二人でショップ経営って素敵じゃないですか。
個人的にムーンライター2を期待するより、ゲームデザインの上手い人の同一コンセプトのゲームを遊びたいです。
クリア後の感想