記事中の画像、文章は公式サイトより引用しています。
40%キーボード、自作キーボードについてはこちらの記事に書きました。
概要
米ロサンゼルスの「TheVan Keyboard」社より40%メカニカルキーボードキット「kumo(雲)」の出資者募集がキックスターターで開始されました。
KUMO - A Compact Mechanical Keyboard by TheVan Keyboards — Kickstarter
記事の執筆時点で、200人までの125ドル枠は満席となっているので、150ドルのプランで受付中です。
このプロジェクトは 2018年8月18日 01:48 土曜日 UTC +09:00 までにゴールを達成した場合のみファンディングされる方式となります。
気になる方はご支援を!
*キックスターター初めて利用しましたが、日本語化されていますし、昔のAmazon.comのアカウントが必要など面倒なかったです。
ちなみに、僕はなんとか200人枠に入れました……。
日本時間の深夜2時くらいでしたが、仕事中でワチャワチャしてなんとかかんとか。
だいたい4時くらいに200人埋まってしまった感じでしょうか。
150ドル枠ももちろんですが、日本への送料無料なので、かなりお買い得感あるんじゃないでしょうか。
訂正:送料有料でした。20ドルくらいだったと思います。
出資前の注意点
プロジェクトのコメント欄に書き込まれていたんですが、Razer(ゲーミングPCメーカー)のメカニカルキーボードが80ドル程で買えるので、他ではあまり見ない特殊なキーボードがほしいという人以外にはあんまりオススメしないですね。
40%キーボードは、ファンクションキーや数列キーなどを取っ払った、超ミニマルキーボードで、kumoは4列44キーしかありません。犠牲になった足りないキーはレイヤーボタンを使ってトグルすることで対応します。キーレイアウト、レイヤーは個人で自由にカスタマイズすることができます。例えば、単押し、長押し、同時押しで違うボタンを割り当てたり、ボタン一つで好きなアプリを起動させたりすることも可能。
一方で、キーカスタマイズにはちょっとした作業が必要になってくるので、一般市販品と同じように簡単に扱えるわけではないので注意が必要です(自分はプログラマではないので、今から覚える)。
kumoは、自作キーボードキットです。パーツは自分で組み立てる必要があります。しかし、組み立てに関しては、基本部品は全て揃っていて、ハンダ付けなど電子工作は不要となっています。この手の自作キーボードキットの中で一番手が出しやすい商品かと思います。
自作キーボードで一番の障壁となるハンダ付け(自作キーボード沼の人によっては一番好きな部分かもしれませんね)は、ホットスワップソケットが最初からハンダ付けされているので、好きなスイッチ(CherryMXや互換スイッチ)をPCB(プリントサーキットボード=プリント基板)に取り付けるだけです。キットには最初からスイッチが付いていますので、好きなスタイル(リニア、タクタイル、クリッキー)を選んで、それを取り付ければオーケーです。
クリッキー:カチカチするスイッチ(Cherry軸の青軸系)
リニア:カチカチ感なし(Cherry軸の赤軸系)
タクタイル:その中間(Cherry軸の茶軸系)
スイッチは、CherryMX互換のKailh社製のもの。プロトタイプではGENTRON社製のものでしたが、Kailhに全面サポートしてもらえることになったそうです。しかも、より高級なプロモデル、スピードモデルの軸ですね。プロジェクトが目標金額達成後に選択可能になっています。
150ドルのキーボード、お得か検証
まず、このキットの内容を見てください。
Hot Swap PCB (MiniVan) 「ホットスワップPCB」
50 Switches (Kailh - Gold, Burgundy, Purple) 「50個のスイッチ」
Hardware (stabilizers, feet, screws and hex key) 「ハードウェア」
Injection Molded Case 「インジェクションモールドケース」
USB Cable (C to A) 「USBケーブル」
Kumo Keyset (52 PBT Keycaps) 「Kumoキーセット(52個のPBTキーキャップ)」
まずプリント基板(PCB)は、電子工作不要の主要パーツがハンダ付けされている基盤です。キーボードを動作させるマイコン、USB-Cソケット、電流を逆流しないようにするダイオード、LEDインジケータ、スイッチを取り付けるホットスワップソケットが取り付けられた状態になっています。ハンダ付け必要な素のPCBの価格は10ドル〜20ドル程度、同仕様の完成PCBは50ドル程度と個人的には見積もっています。
次に50個のスイッチ。
遊舎工房さんで同一のスイッチが10個@400円で販売されているので、単純計算2000円。
参照−Shop | 遊舎工房
ハードウェアには、スペースバーなど長いキーの水平をとるスタビライザーや、ネジ、工具が含まれるようです。これは数百円程度。
インジェクションモールドケースは、キーボードの本体を入れる半透明のプラスチックケースのことですね。ケースには銘木や削りだしアルミなどありますが、プラスチックは比較的安価なケースとなっています。剛性面では金属製に劣りますね。これは高く見積もって3000円くらいでしょうか。
USBケーブルはA to Cタイプで、カールケーブル(電話の受話器の線のようなクルクルしていて伸びるやつ)です。1000円くらいかな。カールケーブルかは未確定っぽい。普通のケーブルかも。
最後はキーキャップ。プラスチック製のキーキャップには、ABS製とPBT製があり、デザイン性の優れたものはどちらも高価ですが、一般に摩耗に強いPBT製が高級とされています。kumoのキーキャップはPBT製で、刻印の方式が不明なんですが(印刷だと安い)、50ドルと見積もりました。
ちなみに、自分の使っているマックブックプロのキーボードはABS製っぽくて、使用していると指の摩擦でテカリが出てきます。
以上の個人による見積もりに、送料などを加えると、市販価格は2万円程度と試算しました。150ドルでだいたい16000円くらいなので、かなりお値打ちなんじゃないでしょうか。
kumoの懸念材料
褒めてばかりでは人を騙すみたくなるので、不満点も注記します。
まず、クラウドファンディングなので、不成立の可能性があります。成立したとしても、メーカーが製品化前に潰れてしまう可能性もあります(キックスターターはかなりしっかりしたサイトなので、おそらく返金されると思いますが)。また、製品発送は来年の1月予定となっていて、かなり待たされることになる上に、ちゃんとスケジュールどおりに行くかも不明です。
製品そのものについては、素人目にはキーレイアウト変更の手順がけっこう複雑なので、その点が不安なのと、プラスチックケースの上、基盤に直接スイッチを固定する方式なので、剛性が不安ですね。
実は、僕は上記の遊舎工房さんで、Kailhのボックススイッチを別途購入していて、これで、軸剛性が高くて、防塵製の高いスイッチにできるわい、とほくそ笑んでいました。
しかし、こいつは底部が3ピン(固定用のプラスチック出っ張りが1つだけ)なので、基盤マウントはできません! 失敗した!!
……これについては、追加で12ドル支払うことでオプションの金属プレートが購入できるみたいです。
Switch plate (~$12USD) will be an add-on, chosen upon campaign completion.
良かった、良かった。
なので、僕の支払いは137ドルになりそう。
アレ? BOXスイッチに2400円(送料込み)使ってるので、ほとんど150ドルじゃん。
さらにkumoキットのスイッチ余るから、多分、もう一個キーボード作ると思います。
やばい、これ沼だ。
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