Mirock Toy / Kagami-Jishi
ワンフェスの戦利品も後半となります。
今回は、当日午後から販売されたため、購入することができた鏡獅子になります。
夏にも販売されていて購入できず、その際久々の登場だったそうです。その後、台北トイフェス、東京の浅草橋で開催された「指人形展」でも販売されましたが、当然ゲット出来ず。やっと手に入れることができました。
ラインナップは8種類ほどありましたが、色によっては人気が集中して完売しておりました。有り難いことに第一希望の塗装版は残っていて購入できました。無塗装版も同時購入できることに目の前で知って、大慌てで選びました。図らずも同じ成型色です。
◯鏡獅子
歌舞伎を知らなくても、イメージとして身長よりも長い白髪を持った演者が、その髪のモミアゲ部分を握って太鼓の節に合わしてブンブン振り回し、お客さんが「わ〜」っと拍手している様が浮かぶ筈です。
さらっと調べてみると、正式なタイトルは「春興鏡獅子」と言って、明治26年(1893年)に初お披露目された演目で、新歌舞伎十八番のひとつとして数えられるそうです。
思っていた以上に新しい演目なんですね。
◯造形について
分厚く重い衣装の着物の皺を、まるでキュビズムの絵画のように抽象化してあります。
石膏仏像というメーカー立ち上げ時(以前?)に制作されていた一連のシリーズ(奇譚倶楽部さんのガチャ「仏像根付」の型の元になったそうです)やジャイアントミロクにも見られるスタイルです。
後ろ姿の造形も素晴らしく、人体であることを忘れて、もっと大きなスケールの風景を見ているような気分になりました。
次の動作へ至る一瞬か、はたまた最後の所作か。
漲る緊張感!
◯塗装について
塗装版は第一希望が購入できました。
最初に見た時「美味しそう」と思ったのが決め手でした。こんな色合いで、イチョウのカタチに型抜きされた生菓子を連想しました(汗)。
全体に淡くパールっぽいトップコートがかかっていて、非常に美しいです。
顔はコッパーに近いような色合いのメタリックカラーが軽く吹かれています。
購入して一番驚いた点が、頭部に吹かれた銀色です。
確かに銀が塗装されています。
飾ってみるとグリーンに見えます。
技ありの塗装です。
◯まとめ
僕個人の解釈としては、ミロクトイさんの民藝品・郷土玩具に対する思いが込められているような気がします。
民藝の良さの一つに「安さ」をご自身も上げられていますが、安いというのは、チープという意味ではなくて、満足感に対してお値打ちである、と言う意味でしょうね。
ソフビというのは、僕としては妥当なお値段だと思うのですが、知らない人からすると異様に安く見られてしまう玩具です。買った値段の10分の1を答える人がザラです。
作風などで一概にはいえませんが、ソフトビニールというマテリアルそのものに、安っぽさを感じてしまう側面があるんですよね(ある意味、それが良いんですが)。
翻って民藝品・郷土玩具……特に木彫などは、マテリアルそのもの質感や重さに値打の説得力がある。その上、本当に安価に手に入れる事ができます。
ソフビが高価ということに、民藝コレクターでもあるミロクトイさんは、ソフビの作家として、憧れ、または対抗心のようなモノがあるのではないか、なんて想像してしまい、鏡獅子はそんな思いが込められて作られているのではないか……などと思うのです。
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