ビデオゲームの人気タイトル「フォールアウト」を実写ドラマ化した作品をみました。核戦争によって荒廃したポストアポカリプス世界、歴史の裏で暗躍する組織、ぶっ飛んだキャラクター達。原作ゲームへの理解度の高い作品に思いまし田中さん。
海外ドラマシリーズは、面白くても長くてダレてしまって最後まで見れたことがないのですが(ゲーム・オブ・スローンズ、プリズン・ブレイクとか……)、シーズン1の8パートと比較的まだ短いので、キャンプ中にサクッと最後まで見ることができました。
ゲームはフォールアウト4の序盤を10時間くらいしかプレイしたことしかありません。オープンワールドゲームにまだ慣れてなくて、道標のない広大な世界に面食らって、そのまま積みゲーになってしまいました。
今回のドラマは、ゲームの中の出来事や設定、小道具などがふんだんに盛り込まれているため、ゲームをしっかり履修しておいたほうが楽しめると思いました。すくなくとも、解説動画を数本見て、固有名詞や
歴史や勢力などを理解しておくと解像度が上がると思いました。
基本的にVault出身の女性ルーシー、B.O.S.のマキシマス、グールの賞金稼ぎ、ルーシーの弟のノームの4つの視点が凝った構成で切り替わります。特にグールの賞金稼ぎの彼のバックボーンは重厚で、強いし悪辣としていて、とても良かったです。
美術にかんしての再現度が高かったように思いました。荒涼としたウェイストランドの乾いて毒々しい舞台。煤けて病んだ人々。ぶっ飛んだ小道具達。フォールアウトのアイコンであるパワーアーマーは、歩くとどこかふにゃふにゃしていて、トンマな姿で、なんだか愛らしくもあり、ドラマの雰囲気にマッチしているように思いました。
ゴア表現が悶絶レベルで、ちょっと鑑賞注意でしたね。いつまでも痛みを引きずらず、ピンピンしているのが、なんかすげーな、と思ってしましました。偏見かもしれませんが、向こうの人間って、残酷描写好きだよな……。
気になったのはBGMのつながり、場面転換で物切れになるシーンが多かったようにおもいました。もしかするとゲームの曲を使っていて、場面の尺にちょうど合わせることができなかったのかな。
もうひとつは、キャラクター造形について。
なんだかキャラの芯のようなものがなく、回の前後で同じキャラとは思えないような行動をとることがあって、ちょっと違和感がありました。アニメGのレコンギスタにも感じたような。フォールアウト独特のノリなんでしょうか。
例を上げると、マキシマスというキャラは、突然の核攻撃によって住む街が破壊されて、両親・友人を突然失い、そこを救いにきたB.O.S.のパワーアーマーの勇姿に憧れ、入隊するという設定なのですが、ドラマの中で彼のキャラクターは簡単に堕落し、なんやかんやでヒロイックになっていきます。そういう部分も人間だもの、と言えなくもないのですが……。シーン毎の演出は悪くないです。強烈なパワーアーマーの力に酔ってしまい、ナイトの訓示を失ってしまうシーンとか、Vaultの甘い歓待に絆されて堕落してしまうとか。
あと、ルーシーもよくわからない。Vault の中で安寧に生きた弊害なのか、甘さが抜けきらず、時々で文化ギャップを見せていましたが、最終的にはウェイストランドの流儀に染まったということなんでしょうか? 最後に〇〇を撃ったシーンは、ちょっと謎でした。決め台詞のオーキードーキーって最後のセリフはカッコ悪! と悶絶してしまいました。
シーズン2に向けての伏線も散りばめられていて、非常に面白いドラマシリーズでした。