アップルデザイン 1997−2011を読みました。アップルの本は結構な数を持っているので、もういいかな、と思っていたのですが、やっぱり購入してしまいました。どうやら、展示会の図録を綺麗に装丁し直したもののようです。
◯装丁
一番に目を引くのは、切欠きの部分です。恥ずかしながら、この切欠きが何なのかわかりませんでした。本を読んでいくうちに、アップルのロゴのりんごの噛り跡だとわかったのですが、どうも、僕にはしっくりきませんでした。というのは、アップルのロゴの切欠きは、印字された欠損部分であり、質量のないものです。コンピュータの容量を示す、byteとも符合します。本の切欠きは当然ながら、切り欠くことに寄って無駄ができ、その軽やかなイメージとは乖離した印象を受けてしまいました。
1997年から2011年の製品を並べた図録なのですが、装丁からは、最初のiMacのイメージが強く打ち出されている気がします。
◯内容
美術展や建築の展覧会のカタログに則した作りをしていて、前半にアップルデザインを論じたパート、後半を1997年から2011年までの製品を並べたパートに分かれています。
論文パート・製品パート共に、余白を贅沢に使ったレイアウトがされています。読むのに2時間は掛からないと思います。
論文については、一方的なアップル賛美に終わらず、ニュートラルな観点から、論じられているように思います。しかしながら、アップルがiPodの白いイヤフォンが最初から人気になると考えていたと書かれているなど、僕の読んできた本とは違う事が書かれていることも何箇所かありました。
1997年から2011年は、ジョナサン・アイブがアップルのプロダクトデザインに深く関わりを持った期間であるため、そのことに関する論文が多いように思いました。
製品パートについて、製品が発売された当初のピカピカの状態ではなく、ある程度、使用された状態の写真が使われていることが新鮮でした。
しかしながら、製品に付いてのキャプションは発売時期と同型品のリストのみで、アップルデザインの秘密を知る手がかりとなるような物はありません。例えば、普段見ることができない、ジョブズがこだわりを見せた内部基盤の写真や、細かなディテールなどが有れば良かったように思います。正直、当時のWebサイトに写っていた製品の写真との違い、つまり、このような図録に収録した意味があるのか疑問です。
◯まとめ
アップルの全ての製品、関連する書籍をコレクションされている人には必要な本かも知れません。それほど熱心な人で無いのなら、図書館で読んで満足という感じです。