香港のトイメーカー「threeA Toys」が7月30日、ブランドを閉めることを発表しました。
3Aは、コミック版メタルギアソリッドを手掛けたことでも有名なオーストラリア人のアシュレイ・ウッド氏と、香港のトイメーカーでThreezeroを経営するキム・フン・ウォン氏によって2008年始業。11年目にして幕を下ろすことになりました。
その気配は、おそらくコレクターの誰もが感じていたことと思います。不思議なことにメーカーが消滅することに残念な気持ちよりも、3Aを集めてきた楽しみや、コレクションを通じて新たに体験させてくれたこと、新しい出会いをもたらしてくれたことへの感謝がSNS等に溢れています。
ゴールに向かうマラソンランナーを拍手で迎えるような、そんな感じです。
オリジナルトイをメインに、この規模でこの期間続いたことは驚嘆に値します!
少し感傷的になって、僕の3Aとの出会いを語ります。
このブログでどこかで書いているかもしれませんが……。
僕が3Aを知ったのは、2012年のことです。当時、フィギュアを集めだしていた友人と名古屋栄のまんだらけのショーケースに入っていたラージマーティンとアームストロングの箱を見て、中身も確認ぜずに確保しました。
アシュレイ・ウッドも海外フィギュアも全然知識がない状態、とにかくそのデザインと塗装に惚れ込みました。当時はクレジットカードもPayPalアカウントもなかったので、割高だと思いつつも、ネットオークションやまんだらけで買いましたねぇ。
日本の3Aコレクター、通称ジャパンレギオンを世代別に分別すると、2011年の冬のワンフェスでJDFのドロップクロス以前から知っていた人を第一世代とすると、JDFドロップクロスからが第二世代で、自分は第三世代という感じでしょうか。当時はまだウォルウォロレも更新されていました。SNSを活用して、玩具コレクターと接触するなんて当時の自分では信じられないようなこともするようになりました。
初期の玩具棚。
弾丸ツアーでジャパンレギオンの展示を見に行く。
ワンフェスでプロトタイプを見に行く。
イベントに行く。
限定品を買う。
どんどん増える。
オフ会にも参加するようになりました。
本当に楽しい時間でした。
3Aを通じて知り合った方と温泉で造形合宿もやりました。ホビー雑誌にも載ったんですよ!
とうとう海外通販レビューして、会員になり公式から買うようになりました。
自分でフィギュアをカスタムしました。
ファン主催のイベントで展示しました。
そしてジャパンベンチャー!
英語が喋れないのに、アシュレイ・ウッドさんに凸ってサイン頂きました。
どれもこれも輝かしい思い出。
もっと円高のときから公式から購入しておけば……なんて後悔はありますが、3Aを集めていたからこそ今の自分があると本気で思ってます。知るのが早いか遅いかで、何回自分の人生を繰り返していても3Aを集めていたんじゃないでしょうか。
さて、3Aは最後を迎え、未出荷のコラボ商品などはそのままThreezeroのラインに吸収されて出荷されるそうです。
一方、オリジナルトイについて、まだまだ語られていないストーリー、登場していないキャラクターがあります。WWRではロスチャイルドの復活、POPBOTでは敵のモーティスや最強のTKであるところのエンペラーTKなんかが告知されていましたっけ。
今後については、アシュレイ・ウッドさんの3Aブログのエントリー全文を引用しましょう。
3Aの時代は終わりを迎える。俺とキムは異なる方角へと進んで行く。キムがthreezeroと共に歩む道にただただ幸多からん事を祈りたい。何年もの間彼とともに塹壕で戦ってこれたことに感謝したい。この11年間、3Aが生み出したもの、達成したものを誇りに思う。現在とこれまでの3Aクルーのみんなと働けたことは大変な栄誉で、心の底から光栄に思う。しかしながら俺の旅、俺のアート、そして俺の世界観は異なる方角へ、顔を上げて、筆を手に、進んで行く。
そしてファンのみんなへ――ありがとう。
3Aが存在できたのも、全ては君達のおかげだ。 安心してほしい――これは終わりではなく、新たな始まりなのだから。バンドは同じなまま、レーベルが変わるだけだ。
ではアンダーバースでまた会おう。
– Ash
引用-3A。2008~2019。全てにありがとう。 — World Of 3A
この文章では、アシュレイ・ウッドさんがThreezeroとは完全に袂を分かち、新たなレーベルを作ることが予想されます。
そして、そのレーベルはこちらとなるみたいです。
アンダーバース。その名前は、TKたちクローン戦士の素となるDNAが保管された場所です。……と言ってもPOPBOT以外のラインもあるみたいですが、イーヴンフォールはここには無いですね。3Aは最後はかなり乱雑になっていたので、一度整理するのかもしれません。
ここまで、ネガティブな発言は控えてきましたが、おそらく3Aの消滅と関係するであろう、玩具の製造コストや輸送コストの高騰、ハッチェリー(孵化工場=製造工場)における製造遅延、不安定なクオリティー、誤配送などの管理の不備など、なかかなうまくいかない部分がありました。会員権の更新の度に、改善が約束され、オリジナルラインの強化を含むスケジュールが発表され、実際何度かテコ入れがされていたことを実感しましたが、うまく行った印象は最後までありませんでした。
一月に一体12体の予定……
自分の予想では、ブランド消滅とまではいかなくても、Threezeroに吸収されて規模を縮小されて販売されるのでは、と思っていました。金型なども流用できますし。それが、完全に袂を分かつことになろうとは……いまから思えば、明らかにアシュレイ・ウッドさんの3Aへの発言は少なくなっていましたし、イベントで個人コレクションを放出するなどは、所有欲が薄れてしまったことの証左と言えます。残念ですが、3AA消滅の10年目以降はブランドを畳む方向に整理されていたのではないでしょうか。欲を言えば、ラストセール! みたいなお祭りで有終の美を飾って欲しかったですが……。
未来の話に戻しましょう。
今後展開するアンダーバースはどういう玩具を売るつもりなんでしょうか? 初期の3Aのような1ロット100個程度の少数で販売するのではないでしょうか? 3Aでも挑戦していましたが、いまいちうまくいっていなかった、高価ですが、作品として満足度の高いという方向性です。個人的には、そういう方向性は指をくわえているだけになりそう。もっと安価な……B2Fiveのような感じの玩具として売って欲しいですが、無理かなぁ……。アシュレイ・ウッドさんが強く推していた、3AGOも同じコンセプトだと思うし、良いと思うんだけどな。中古市場の価格がこなれていけば、昔買い逃した製品を手に入れるというのも有りですね。
最後に、3Aのスタッフの皆様、素晴らしい製品と思い出をありがとうございました!