カメラ・レンズメーカーのシグマから、新しい”ボディ一体型”カメラが発表されました。
正式の場では、日本最大のカメラの見本市CP+に先駆けて、公式サイトの方で発表されましたが、たまたま数日前にリーク画像を見て、まあ、驚きました。
僕は、三層式のフルカラーイメージセンサを搭載した”コンパクトデジタルカメラ”DP1を所有していて、そのシャープで立体感ある描画に、購入して5年も経つと言うのに今でもハッすることがあります。
SIGMA DP1:僕のカメラについて。 - smogbom
マイナーチェンジを3回して、フルモデルチェンジとなったメレルシリーズをスルーしたのは、懐事情ももちろんですが、大きく重くなってしまったので、アウトドアでは使いにくいかな? と思ったのです。
内部仕様も新しい描画処理チップを開発できないのか、旧DP2から搭載されたチップを2つ入れるという、なんとも脳筋なやり方でしたで、そこまでして解像度を求める姿勢に、ちょっと首を傾げていたのです。
本体の大きさもそうですが、データサイズ自体も大きすぎる。冷静に考えると、今では、iPhone5の画像データよりも、DP1のデータサイズの方が小さいのですから。
◯どうしてdp Quattroが気になるか
そこまで言うなら、メリルの次のクワトロは、ボディサイズが小さくなったのでしょうか。
公式サイトのスペックシートから、最大寸法を概略図に書き出しました。
上が正面、下が側面です。
ご覧のとおり、大きいです・・・・すごく。
それでも気になって仕方がないのが、その外装デザイン。
リーク画像の段階では、これはコラ画像だと断定する意見も多くありました。僕もそうだと思いましたが、内心のワクワクを抑えられませんでした。もしかしたら、シグマならやるんじゃないか・・・・。
*公式サイトからキャプチャさせて頂きました。
この画像からは、わかりにくいのですが、横に長い形状で、グリップが前ではなく、背面に大きく出ています。横長の形状は、ミノックスのスパイカメラや、ソニーのクオリア016を思い出しました。
この形状は、ファインダーではなく、背面ディスプレイを見ての撮影の際、構えやすい形だそうです。奇をてらって、この形にしたのではなく、内部構造の最適化や使いやすさから導きだされた形状とのことです。
この見た目をから、デザインが悪いというコメントも見受けられますが、デザインとは、見た目だけではなく、使いやすさや作りやすさなども含めた難しい言葉なので、画像だけで判断するのは早計だと思います。
◯コンパクトカメラではなく、一体型カメラ
メリルでどう表現されていたかは知りませんが、僕の持っている世代のDP1は、コンパクトカメラという表現・ジャンル分けがされていたと思います。
今回のクワトロでは、ボディ一体型またはフルボディと表現されています。一体型のメリットは、イメージセンサとレンズのアライメントをキッチリする事でレンズの性能を最大限にできることだと言われています。
メリルの時はよく解りませんでしたが、シグマは、解像度の高い写真が取れるなら、例えボディサイズが大きかろうが、多少使いにくかろうが構わないという方向に舵取りしていた(元々から?)のだと思いました。アウトドアでの使用を考えてコンパクトで電池持ちのイイカメラが欲しかったのですが、少なくとも今の会社規模では、もう望めないのだろうと思いました。
それを残念に思う反面、CP+でのシグマ社長山木さん(よく間違えられてるけど、ヤマキさんだから!)のプレゼンテーションを見て、ワクワクしている自分がありました。
CP+2014:シグマ、山木和人社長「Quattroセンサーについて」ステージ ...
この中で、もっともテンションの高まる部分、「カメラにおいては、解像度は正義である」という言葉。自分たちの仕事、製品に信念と情熱を燃やしている人の言葉は、人を酔わせますね。
今回のカメラの中核をなしている新しいイメージセンサの技術開発が、そもそものフォべオンX3センサの開発に匹敵するエポックな出来事だと言い、今後の更なる解像度アップへの足がかりになる・・・・凄いことになりそうです。
◯クワトロセンサについて
今まで、三層式のイメージセンサのサイズ=映像素子の比率は1:1:1の対比でした。簡単に言うと、有効映像素子の数が1,500万画素なら、実際の映像のサイズは500万画素でした。
今回は、一番上の層(青色の映像素子)を真ん中の層(緑)と一番下の層(赤)の4倍のサイズにしています。ここからクワトロ(4)と名付けられたみたいです。
仕組みとしては、今まで各層で色情報と解像情報をキャプチャしていたのを、解像情報だけはトップレイヤでキャプチャして、下の2層は色情報だけキャプチャするという方式のようです。
利点としては、画像のデータサイズが小さくなるということらしいです。いままでのように1:1:1の比率でイメージセンサを高画素化し続けると、どんどん映像素子は細かくなり、データ量も増え、消費電力や処理時間も増えます。あと、映像素子が細かくなると、光の階調表現が難しくなってのっぺりした感じ・・・・携帯電話の写真みたくなるんでしたっけ?
一つ不思議に思うことは、2層目と3層目の画素数がトップに比べて1/4になるのに、どうして解像度を維持できるのでしょうか。解像情報というのが、どうにも文系には理解できない。
解像情報に対して、色情報が足らなくて、にじんだりしないのでしょうか。
文章で書いても伝わりにくいと思うので、図にしてみました。
トップレイヤは、一つのグリットが一つの映像素子で、白い部分との接点が輪郭線とお考えください。
ボトムレイヤは、トップレイヤの1/4なので4つのグリットで一つの映像素子と考えると、トップレイヤの輪郭に沿ったラインは書けないので、2つのイメージを合わせると、一番下の図のように、色がはみ出たりしないか、と思うのです。
上のプレゼンで、ベイヤー式のように補完しないのかという疑問に対しての説明で使った資料は直線なので、斜めや曲線の場合はどうなるか示して欲しかったです。
おそらくですが、同じくプレゼンの中で、フォべオンX3センサがキャプチャする色情報は、青の層なら青だけ、という訳ではなく、感度は落ちるものの、他の色相も取り込むと説明されているので、そのため、塗り絵における色のはみ出しのようなことは起きないのではないかと考えています。
なんにせよ、はやく実写サンプルがアップされるのを待ちたいと思います。
発売自体は、オフィシャルではないものの、夏を目指しているということです。価格も未定ですが、DP、DPメリルは、最初の価格は10万円辺りだったので、その価格帯を睨んでいますが・・・・毎月ちょっとずつ貯金していけば、あるいは。
一応、標準レンズのdp2 Quattroを考えています。画角が違うDP1のビューファインダ(ニコンの28mビューファインダーが届きました。 - smogbom)の流用はできませんが、写真を学ぶには一番いいとされる標準レンズのカメラが欲しかったんですよ。