smogbom

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プロジェクト・ヘイル・メアリー、クッソ面白いんだが

弟に教えてもらった本が面白かった。彼の勧めた「読んだら眠れなくなる 宇宙奇譚集」 の後に聴いた(オーディブルなので)ので、全然期待してなかったんだが、めちゃくちゃ惹き込まれた。

地球の危機に、たった一人で挑むお話なんだけど……ああ、これ以上は言えない!! とにかく面白かった。感動的だった。後編の半分くらいはずっと泣いてた。

超おすすめだ。

 

 

ここからネタバレ。

 

 

 

 

読まないほうがいい。

太陽の光量が突然低くなっていってることがわかった。どうやら、恒星間生命のアストロファージという地球外生命体が、太陽表面に巣食っており、太陽の放射エネルギーを食って活動しているという。このままでは、地球は氷河期に突入し、大量絶滅となってしまう。予測の結果、30年後まで生き残れる人類の総数は、半数となるという(食料の奪い合いが発生し、戦争などがあれば、もっと酷い)。

観測の結果、太陽系の外の恒星も、アストロファージに感染しているようだが、唯一地球から13光年先のタウ系の恒星は感染していないようだ。

原因を探るため、地球から研究チームを送る「プロジェクトヘイルメアリー」が発足。現在の地球には恒星間宇宙移動する技術はないのだが、そのブレイクスルーとなる要因は、なんと今回の危機の原因であるアストロファージだった!

……という感じ。

 

物語は、主人公が目覚めるところから始まる。

亜光速まで加速した宇宙船ヘイルメアリーは、13年9ヶ月の期間をつかって、ついにタウ系へ到着する。相対論による光速に近づけば近づくほど時間の流れが遅くなるという物理法則に従って、ヘイルメアリーの主人公の実時間は、地球から出発して3年間が経過していた。

3年間覚醒状態ではなく、いろいろな実験結果(精神状態の維持や食料の問題など)、危険な昏睡状態に意図的になっていた。この昏睡状態は復活できるか賭けであり、7000人に一人の割合の昏睡耐性遺伝子を持つ乗組員の中でも、生き残ったのは主人公たった一人だった。つまり、地球の命運は主人公たった一人。そして、燃料の問題から、帰り道はない。たった一人の特攻ミッション。解決の糸口をみつけて、データを小型無人船に乗せて、地球を救って、たった一人死ぬことになることが決まっている。

3年の昏睡状態から目覚めた主人公は、記憶が混濁していて、どうしてこんな状況なのかわからない。次第に思い出していく。家族同然だったクルーのこと、地球の危機のこと、ヘイルメアリーのこと。自分のこと。

 

穴だらけの混濁した記憶の中、ミッションは開始されるのだが、なんと向かったタウ系の恒星には、先客がいた。

地球外知性体とのファーストコンタクトである!!!!!

とにかく、この地球外知性体がユニークで、めちゃくちゃ可愛いのである。

そのバディと一緒に、地球と地球外知性体の母性2つの星を救うミッションとなる。

二転三転する状況、育まれる友情。意外な生態とその対比によって浮き彫りになる人間のユニークさ、カッコよさ。

とにかくラストシーンまで目が離せられない。

記憶が完全になったとき、明かされる衝撃の真実。主人公がすごくいい。最高人間くさい。だからこそ、最後の決断がメチャクチャ痺れる。かっこよすぎ。泣ける!!

余韻が半端なかった。

 

おまけ:冒頭に書いた「読んだら眠れなくなる 宇宙奇譚集」がなぜ残念だったのか。そういうトンデモ本なのはわかるんだが、真実とやらが恣意的すぎて、失笑してしまう。最初の章で、最新のスーパーコンピュータでシュミレーションした結果、初期の単純なタンパク質が原子地球環境で生成されるまで46億年が経過しても無理だった。なのに人類がこうして誕生しているのはオカシイと言っている。次の賞では、スーパーコンピュータが誕生する前の科学者が選定した、宇宙の大きさの割合から、宇宙にはもっと生命体がいるはずなのに、人類が遭遇していないのはオカシイ、という。

いや、前の章を参照にしたら、もう答えでてますやん……。スーパーコンピュータのシュミレーションの条件設定が正しいとは限らないけど。ツッコミどころ満載で、たしかに読んだら眠れなくなったわ。高評価している人、もうちょっと人を疑ったほうが良いと思うよ。