先日、京都に行ってきました。
前編は広隆寺とそれまでの道のりの模様です。
京都旅 前編 / 広隆寺とアーバンハイク - smogbom
今回は後編になります。
京都国立博物館で開催されている鳥獣戯画と高山寺展、それと同時開催されていた京へのいざない展の模様をメインに書いていきます。
◯時間がない
広隆寺から国立博物館まではバスで移動しました。どこまで乗っても200円ってスゴイですね、都会は。それと直ぐに移動手段とバス停を発見できるグーグルマップの凄さ(Apple党の癖にAppleのマップ使わないの? ってツッコミはさておき)。
◯会場到着
時間は午後3時前でした。
閉館まで3時間あるので、十分だろうと思っていたんですが、まさかの入場規制で、会場に入るのに30分待ちの表示が。
考えた挙句、朝に駅でうどんを食べたっきりなので、食事を摂りに行きました。
ビットサミットの時に食べたメキシコ料理にしようと思ったのですが、勘違いで全然違う場所。
朝、嫌っと言うほど歩いたので、あまり遠くには行きたくなかったので、近場で検索すると洋食屋がヒットしました。
学校前にあるお店で、ハンバーグとキノコのクリームコロッケのセットを注文。
直ぐにスープカップが運ばれて来て、店員さんが「豚汁です」と言ったのですが、カップとのギャップで聞き間違いだと思いました。一口飲んだら、豚汁でした。洋食屋さんということで、多分出汁がコンソメなんでしょうね。はじめでの味でしたが、美味しかったです。
ところが、その後30分待っても料理が出てきません。歩き疲れていたので、ぼーっとiPhoneを触ってましたが、ちょっと考えたらオカシイ。
待ちに待った料理が来て、デミグラスソースのたっぷりかかったハンバーグを一口食べて、「苦い……」。
クリームコロッケが凄く美味しかったので、残念でした。
お店を出て、国立博物館にいくと、若干待ち時間は少なくなって20分待ちに。コレ以上は待てぬ、と列に列びました。
◯午後4時に会場イン
公式サイトですら鳥獣戯画展としていますが、正しくは鳥獣戯画と高山寺展です。高山寺とは鳥獣戯画が所蔵されている京都のお寺です。そのお寺の他の所蔵する美術品や史物なども展示されているんですね。
会場は4部構成になっていて、目玉の鳥獣人物戯画は最後のパートになっています。しかも、ここでも待ち時間が設けれれています。僕の場合は30分待ちでした。また、一挙公開とか言いながら、乙巻の半分は入れ替え制になっていて、複製写真でしか見ることができない点も注意が必要です。
◯高山寺のパート
ここでは4部構成のうち3部(厳密にいうと、鳥獣戯画の部分にも食い込んで)を使って、高山寺が開かれた来歴や、高山寺にまつわる高僧所縁の品々などが展示されています。
求道のあまりに決意の証として、母の身代わりとして慕った絵の前で右耳を落とした明恵上人のエピソードに「ゴッホか!」と思ったのは僕だけでしょうか。
素人目には、史物としての価値はあるのだろうけれど、鳥獣戯画無しでは展示内容としては弱いかなぁ、と思いました(何様か!)
◯鳥獣人物戯画
今回知ったのですが、鳥獣戯画は正しくは鳥獣人物戯画といい、甲乙丙丁の4巻に分かれています。鳥獣人物戯画という一つの書物のようですが、描かれた時代・作者も違います。そもそも4巻構成とされたのは明治時代であり、それまでに一部の絵が流出してしまい、完全な状態ではないそうです。今回こうして展示されたのは、修復作業が完了した事を記念したことで、幾つか新事実が発見されました。どんな新事実かは現地でお確かめください。
*以下、内容に触れますので、知りたくない方はすっ飛ばしてください。
甲巻:メインビジュアルにも使われているうさぎやカエル、サル、キツネがまるで人間のように弓や川遊びをする姿が描かれています。この巻が最も古いとされています。
この巻の前に列ぶスペースが設けられ、見るのも止まってじっくり見ることはできず、一歩ずつ進みながらでないと見れません。
絵は非常にユーモラスで楽しいです。もっとも古いとされるのに、人を動物の姿で描くというのは、どこかモダンな感覚ですね(でも昔話とかを思い出すとそうでも無いかな?)
風景も詳細に描かれていて見応えがあるのに、急かされて見なければいけないのが残念でなりません。
この個展のキャッチコピーは、「こどもも おとなも たのしめる」なんですが、今の状態だと子どもも下手をすると大人も楽しめません……しょうがないんですけれどね。
今思うと、列んで見なければいけないのは、この巻のみだったのかもしれません。
乙巻:この巻はどういう訳か前半の馬や牛、鷹、犬などが描かれている部分のみショーケースに展示され、後半の龍や麒麟、獅子、象などが描かれた部分は壁面に貼られたレプリカでの展示となります。スペースとしては十分なんですが、前半と後半で入れ替え制になっています。
この巻の動物たちは、甲巻のように擬人化されず、そのままの姿で描かれていますが、例えるなら手塚治虫が描く動物のように、デフォルメ(頭身が下がってる?)がされています。そのせいで、可愛らしさを感じます。
甲巻と乙巻の筆の感じは同じように見えますが、その点はどうだったかな?
丙巻:甲巻と乙巻の画風とは、また変わります。上の2巻は戯画(戯れに描いた絵)と言いながら美術的に高度な絵と思えるのに対して、丙と丁の2巻はもっと崩れて、落書きのようになっていきます。美術的価値よりは史実的価値のほうが高いのではないのでしょうか。
丙巻に描かれているのは、人間(ここでやっと鳥獣人物戯画の人物が登場します)の様々な勝負事が落書き故に、奔放に活き活きと描かれています。後半は擬人化された動物たちが登場しますが、甲巻との違いは背景があまり詳細に描かれていない点でしょうか。
丁巻:この巻は、あまりに画風が違うため、同じ鳥獣人物戯画と捉えていいのか躊躇してしまいます。動物の擬人化は見られません。断言しますが、4巻の中で一番下手クソな絵です。牛車などの小道具のディテールの甘さ、筆使いも稚拙に感じます。まさしく、戯れに描いたんでしょうね。白い紙が高価な時代だったでしょうから、かなり位の高い人が描いたのではないでしょうか、と素人考察しました。
最後にミュージアムショップで図録とお土産を買いましたが、かなり強気な値付でしたね。缶バッチ3つで800円ですよ! 最近、缶バッチを業者に発注して自作したので、原価大体わかるんですが、それにプラスアルファしてもボッタクリ過ぎ! 2セットしか買えなかったじゃないか!
あと友人夫婦にお土産として鳥獣戯画トランプ(奥さんがトランプが家に無い! と言ってたのをずっと覚えていた。マメだろ〜、でも全然モテないんだ)を購入したんですが、もしかしたらチャチな紙製のトランプだったりして……1500円もしたんだぞ!!!(こういうケチっぽいところがモテない理由の一つだな)
◯京へのいざない展
新館のほうで開催されていた「京へのいざない展」ですが、実は閉館まで30分しかなく、まともに見れませんでした。展示品は、実は鳥獣戯画展よりもいいんじゃないか、というくらい良かったです。じっくり見たかったです。
仏像も数点展示されていたんですが、これがまたスゴイ! 3階吹き抜け空間にドスン、ドスン、ドスンと数体の巨大な仏像が展示されてるんです。前半の記事の広隆寺とは違い、こちらは美術品として展示されているので、照明や配置なども流石の一言でしたね。
中でも個人的に注目だったのは、宝誌和尚ですね。なんでかと言いますと、今回お供に連れて行ったミロクトイさん原型の仏像根付の中に宝誌和尚が居るんですね。
写真の奥の列一番右がそれです。
畜光の塗膜のせいでディテールが潰れているのですが、お坊さんの顔の真ん中がぱっくり割れて中から仏が出てきているんですね。僕は無学で、この演出を原作・山田風太郎、作画・石川賢とダイナミックプロの「魔界転生」からのオマージュかと思っていたんですが、実は、この仏像という元祖があったんですね。
しかも、この仏像のモチーフとなる宝誌和尚は実在の人物で、絵師が彼を写生しようとしたところ、顔の真ん中から仏が顔を出し、常にユラユラと動いたため、絵師は彼を描けなかったというエピソードから来ているそうです(買った図録には収録されていなかったので、この話はうろ覚えです。間違ってるかもしれません)。
この像が見れただけでも大満足。
仏像の他にも、絵画、書、工芸など様々な展示品が、3階の建物全てを使って展示されていました。あまりにも点数が多かったので、残り時間に焦って挙動不審になってマトモに見れませんでした。11月16日まで開催なので、もう一度行きたい!
◯ちょっと不快な話かもしれませんが、仏像の展示について。
京へのいざない展の仏像の展示には実は見覚えがあって、とあるSNSに投稿されていたんですね。仏像の画像が。当然、それって犯罪でしょ。「感動して思わずシャッターを切ってしまった」ってカッコイイ風に言うんですけど、それが許されるなら「魅力的すぎて思わず女性のお尻を触ってしまった」も通っちゃうって話ですよ。不謹慎な例えですね……えーっと、美術品や史跡に落書きする人とか、つい触っちゃう人とかいるじゃないですか。そういう連中と同じですよね、僕の中では分類的に。
自分だけはオーケーとか、フラッシュ焚かなければオーケーとはならなりませんよ。どんなに素敵な写真でもね。言われなくても分かると思うけれど、ミュージアムの運営にはお金が掛かります。維持・管理、新しい美術品の購入。その為に、有料で展示会を開いている訳です。それを撮影したら盗難なんですね。少なくとも、SNSに投稿して周りの賞賛を得ようとしている魂胆が下品です。
その方、凄くカッコイイ写真撮る人でしたし、持ち物なんかも洒落てていいな〜! って思っていただけにガッカリでした。まさかこの人が……と。「撮影オーケーなら兎も角、無断で撮影はマズイですよ」とコメントすると、直ぐに画像を消されたので、それ以上は追求しませんでした。ついうっかりは人間、だれしもやりうることです。お互い気をつけましょう!
追記:……と、書いておいて、早速、前編の仁王像は撮影しても良かったのかな? と気になりました検索した所、仁王像を撮影不可とする記述は無かったので、写真は掲載しておきます。もし、駄目な場合はコメント欄にでも書き込みお願いします。このツメの甘さが俺クオリティ。
◯展示会後
友人の仕事が終わったそうなので、駅前で合流しました。都会で合うことが、これまで無かったので、奇妙な感じがしました。
食べたいものとか決めて無かったので、飲み屋さん(蔵倉 (クラクラ) - 京都/居酒屋 [食べログ])で食事しました。奥様から「今後の人生について」の有り難いお言葉を頂き、身の引き締まる思いでございました。旦那のほうは僕のフォローにまわってもらってしまい、さぞかし居心地の悪い思いをされたことでしょう。僕のブログを時々読んでくれているそうなので、もしかしたら、目に留まるかもしれません。この場を借りて謝罪させて頂きます。
お酒を僕は飲んでなかったのですが、料理で覚えているのは奥さんの「女の子はアボカドと生麩が好き」って言ってたので、生麩田楽は覚えています。あと、最後に自分で頼んだ菜っ葉煮。なんか「そんなもの家で食べさせてもらえないの?」って不憫な目で見られました。
その後、第一旭でラーメンと行きたかったんですが、閉まってて別のラーメン屋(恵比朱 (エビス) - 京都/ラーメン [食べログ])へ。
電車の時間もあったので、駅でお別れしました。
◯戦利品
図録は鳥獣戯画展が2600円、京へのいざない展が1500円です。鳥獣戯画展の図録は割高ですが、縮小版の豆本やスマートフォンアプリで動画再生されるARマーカーが付いていたりと、中々凝った作りになっています。
あと家にも鳥獣戯画生八ツ橋(だったかな?)を買ってきましたが、写真撮る前に妹に食べられてしまいました。値段は540円だったことを記して終わりとします。