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THE FIRST SLAM DUNK感想-スラダンはお好きですか? →嘘じゃないなら見れ‼

原作者の井上雄彦氏による、脚本、監督によるスラムダンクの映画を見てきました。


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TVアニメーション版とは異なるボイスキャストなど、炎上もみられましたが、幸いなことに、自分はコミック至上主義者で、アニメなど広告代理店による銭稼ぎ・原作のプロモーションと思っていますから、違和感なく視聴できるでしょう。

公開初日、SNSでの怨嗟の声などを聞くと、結構空いているのかな? と思ってましたが、空席がほとんどなく、首の角度が辛い場所でした。否定的意見が目立つ、って本当のことなんだな、と実感。

ネタバレなしの端的な感想を述べると、とても良かったです。井上雄彦さんは、監督なんてせずに、はよ漫画描けよ、って思ってましたが、本当に素晴らしかった。スラムダンクは珠玉の作品でした。

スラムダンクが好きなら、見に行くべき。本当に良かったです。さらに当時夢中になった友人と一緒に行ったら、きっと鑑賞後に盛り上がれるはずです。

以下、見てきた人向けのネタバレ感想です。

ネタバレは見ないほうが良いです。

 

 

 

 

これは本当。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メインビジュアルの湘北メンバー5人の配置に最初、違和感を感じていました。

どうしてあいつがこの位置に??? 身長差的に?

その疑問は、始まって一瞬で瓦解します。

 

ああ、なるほど、こういう切り口から行きますか!! と。

最初、この構成は面白いな、と思ったんですが、途中から逆になくてもよくないか? むしろ、試合の邪魔になってないか? とも思いました。

僕が、スラムダンクで素晴らしいな、と感じているところは、バスケットボールという競技自体にのみフォーカスがあたり、登場人物の細かな背景を極限まで削っているところです。

そのため、主要キャラクターの家族構成や普段の生活、過去などのほとんどが削ぎ落とされてしまっています。花道の親父が倒れたとか、魚住の家が板前とかはありましたけど。

この徹底ぶりは、他のスポーツ漫画を比較すると異様とも言える部分です。多くのスポーツ漫画においては、主人公がそのスポーツをする動機づけが、過去の悲劇的エピソードなどから紐付けられます。家が貧乏だった、とか、両親から愛が与えられず、スポーツだけが救いだったとか。

 

一本の作品として、リョータの追加描写は、体裁を整える役目を担っています。同い年でありながら、日本で頂点に立つとされる沢北とのライバル関係は、原作で描写されていないことが不自然なほど、納得できるものでした。

その一方で、宮城リョータのエピソードは、自分にとって蛇足も蛇足、スラムダンクが凡庸なスポーツ漫画に成り下がったかのように感じられました。

花道が偶然バスケットボールというスポーツに出会い、深い理由も因縁もなく好いていき、自身の未来を投げ出すほどのめり込む純粋さには、到底叶わないのです。

 

スラムダンク原作が、連載終了を決定づけた、最高の試合である山王戦の完全アニメーション化、しかもそのビジュアルは、コミックスのシーンが完全再現されたかのような完璧さでした。綾子さんのウェーブヘアとか、すごかったです。試合会場以外のロケーションも結構ありましたが、メインは体育館なので、もう少し作り込んでも良かったように感じました。それこそ、試合当時の会場のモブキャラ全員を作って、動きをシュミレーションするぐらいの作り込みをすればよかったのでは。ゲームエンジンなんか使えば、できそうではないですか? 試合の音などはリアルでしたが、体育館の床が振動して跳ねる感じとか、傷の感じとか、体育館の照明がいろんな方向から当たる感じとか、もっとリアリティは追求できたように思えますね。

 

登場しないキャラクターや直前のエピソードの関係で、端折られてしまったシーンがありますが、コミックスのあのシーン、あのセリフが出るたびに、息を飲み、体が震えました。それは、劇場全体で共有できる体験でした。背後のクソカップルが、マナー悪くささやき合う瞬間でさえ、「今のシーン良かったよな、俺もわかるぜ!」 と共感していました。

 

つまり、自分がこの映画で評価するのは、映画ならではの部分ではなくて、純粋にスラムダンクは素晴らしい作品である、ということです。映画なんて必要なかったではなく、映画を見たからこそ、原作の素晴らしさを再確認できました。そう、私はコミックス至上主義……。

映画鑑賞後、慌てて宮城リョータが書影を飾るコミックスカバーを見返しましたが……なんとそこには二重のリストバンドが……もしかして、当時からこの設定ってあったの? でもバスケットボールの試合には邪魔だから、って削ったってこと? それとも後付?

前者なら、て、天才やで……。