◯装丁
シンプルでいいと思いました。上下巻に分本しなかった点も評価したいです。アウトドアでの読み物として考えた場合、軽くなるので、上下巻に分けた方がいいかもしれませんが、この本の場合は、ゲームブックよろしく、アチコチにページが飛ぶので(〇〇については何ページ参照・・・等)、一冊にまとめた方が便利良いと思います。
どうしても、重すぎるという方にひとつ、面白い解決方法を。
解剖学者の養老孟司先生は、コミックだろうが本であろうが、読みかけの本を旅に連れ出すとき、読み終わった部分はバリッ背を割いて、家に置いて行くそうです。僕には到底真似できません。
◯分厚い本
それについても分厚い本です。
1000ページ近くあり、最初はさらっと読めるかしら、と躊躇していましたが、読み始めてみると、特に引っかかるところ無く、グイグイと読むことができました。
長く高額古書としてしか購入できなかったことが本の評判を高めることになっていたのでは? と考えていました。また、昔の本なので、今のアウトドア事情とは外れることや、ギアの進歩もありますし、今すぐ使える情報という部分には期待していませんでした。
それでも、読んでいて興味が惹かれる部分や、応用が効きそうな部分がありますし、人がアウトドアに惹かれる根底的な部分については、今も昔も揺るぎないのだなと思いました。
◯本文レイアウトについて
やはり、その分厚さゆえなのか、本文のレイアウトには無理があるように思いました。
普通に座って、あるいは立って読む分には問題ないのですが、寝て読むと文字の一部がのどの谷の部分に隠れてしまいます。
◯本の帯問題
ところで、僕は本の帯というものを、ことのほか嫌悪しています。中にはブックデザインの一部としてきちんと取り入れられているものもありますが、ほとんどは、無遠慮で下品なモノばかりです。装丁家は、数百ページを読まなくては理解できない、本のエッセンスを、文字化されていない作家の気持ちを、装丁に託しているのです。
また、読んでるとズレ落ち、邪魔になります。
そんな無用の長物でしか無い、本の帯を僕は捨てることができません。
腐っても、本の一部だからです。
長年、この帯をどうしたものかと考えあぐねていたのですが、一つ、僕の中で回答がでました。
写真が逆さまで申し訳ないのですが、カバーの中に入れてしまうのです。
最初は違和感がありますが、次第に馴染んできます。
このような解決方法が生まれたのは、この遊歩大全を読んでいた時であることと無関係ではないと思います。遊歩大全を読んでいると、今で言う、ライフハック的な事を発想させてくれる気がします。
◯何で載せたのかわからにない解説
最後におきまりのように本の解説がのっているのですが、この解説の著者本人がいうには、遊歩大全の著者であるコリン・フレッチャーについては詳しくないし、遊歩大全よりも訳者の芦沢一洋さんの本の方が好きだ、と言うのです。
おそらく、文庫版になって付いた解説だと思うのですが、なぜそんな人に解説を頼んだのか、こんな解説でオーケーを出したのか。疑問に思います。この本が、ハードカバー版のように名著として愛され続けるとしたら、この解説が汚点にならないかしら。