先日、公開日ギリギリでしたが、スウェーデンの人気陶芸作家「リサ・ラーソン」さんの個展を観るために、滋賀県信楽町の「陶芸の森」に行ってきました。
公益財団法人 滋賀県陶芸の森 | 滋賀県立陶芸の森:やきものの里、信楽(しがらき)にある芸術と美しい自然に囲まれた森
東京で大盛況だった個展で、次の巡回地が滋賀県だったのです。
陶芸の森での公開日は6月7日日曜日で終わりとなりますが、直ぐに6月10日からJR名古屋タカシマヤで開催されます。
陶芸の森で見た内容とも少し変わるかもしれませんので、チャンスがあったら名古屋会場でも見たいです。
◯リサ・ラーソンについて
女性陶芸家で知ってるのは、ルーシー・リーぐらいでしたが、ライオンの置物は、なんとなく見たことがありました。
今回の個展で、リサ・ラーソンさんは、未だに勢力的に創作活動を続けられていることを知りました。
特徴としては、前述のルーシー・リーなどの、いわゆる陶芸家のイメージする、手ずから土をこねて作品を一つ一つ焼いて仕上げるという感じではなく、リサ・ラーソンさんも「ユニーク・ピース」と言って、実験的に自分で一つの作品を仕上げることもあるのですが、多くは「プロダクト」、つまりは大量生産品で、素材となる土を指定したり、フォルムなどを考えたりして、工房の職人がそれを元に作るという形をとっているようです。
そのため、普通の人にも購入できる価格なんですね(とは言っても、ピンきりで1万円以下で買えるものもあれば、信楽会場で販売されていた、一つ一つ絵柄が違うガールズパワーと言う作品は一つ20万円してました)。
◯良かった作品・気になった作品
動物シリーズ:代表作の動物シリーズはやっぱり良かったです。一点、実際手にとって触れました。大きな動物園シリーズの猫だったかな?
図録表紙のライオンはロクロ引きのパーツをつなぎあわせて作ってあるんですね。アート作品というよりは、プロダクト作品という色が強かったです。高価で手が出せませんが、大きいヤツがいいですね。
後期のちょっとリアル路線よりも、アウトラインの強く引かれたデフォルメチックな作品の方が、自分の好みでした。同じ理由で、信楽焼きとのコラボのたぬきは、あんまり惹かれませんでした。
ABC少女シリーズ:もともとブックエンドとして企画されたのですが、軽すぎたため用をなさず、しかしフォルムの可愛さから大好評となり、バリエーションを追加して再販されたシリーズのようです。
水滴型といいますか、下膨れしたどっしりとした、ふくよかなフォルムをした読書に耽る少女たちの像で、金髪なんですけど釉薬のかかっていない素焼きの部分の肌が小麦色に焼けた風に見えて、文学少女のくせに健康的です。
キャンドル立ての作品:会場は10年くらいにキャリアを分けて展示されていたのですが、いつの時代にもキャンドル立てがありました。会場では、キャンドルが立てられてないせいか、印象に残った感じがしなかったのですが、図録ではキチンとキャンドルが立てられた状態で載っており、印象がこちらの方が良かったです。たぶん、リサ・ラーソンさんの作品って、実際使ったり、ごちゃごちゃとした中に置いた方が生きるデザインなんでしょうね。
ローザシリーズ:小さな杯を椅子に見立てて、巻き毛の裸婦がゆったりと腰掛けているっていう作品です。局部はバラのプリントがあしらわれていて、エロティックなんですが、地母神的なふっくらとした体型もあって母性も感じられます。
日本の陶芸にインスピレーションを受けた作品:ちょっと記憶があやふやなんですが、会場のキャプションには「Q.日本の陶芸(美術だったかも)について、どう思いますか?」という質問に対して、リサ・ラーソンさんは「日本の陶芸(美術?)は、何かが欠けていることが可愛らしい。私の作品は、ときどき装飾過剰になってしまうことがあり、肩の力を抜いても良いことに気付かされた」という様なことが書いてあったのですが、会場で凄く違和感があったんですね。
僕としては、日本の陶芸(美術)の特徴というのは、もうそれ以上、付け加えようもなく、削りようもない、っていうキレッキレの状態の美しさだと考えていました。なので、外国の人には「可愛く」見えるのか、と驚きでした。
家に帰って図録を見て、自分の家の棚を見ていると、「欠けている・足りないことが可愛らしい」って、どちらかと言うと、民芸品の良さなんじゃないかな、と思いました。
どことなく、リサ・ラーソンさんの作品の、ぼんやりしたところって民芸品に通じるような気がしました。
スティグ・リンドベリの作品:彼女の才能をいち早く見ぬいたデザイナーでもある、上司ともなる人の作品が展示されていました。図録には、まったく載ってないのですが、今回、初めて知り、とても良かったです。
カトラリーに関しては、リサ・ラーソンさんよりも好きかもしれません。
◯陶芸の森について
リサ・ラーソン展会場内は撮影禁止でしたが、外には無造作に陶芸作品が展示されていて、自由に見れて写真もオーケーのようでした。
野ざらしなので、凄い作品なのかよくわからないですが、個人的に良いなと思ったのをパシャパシャ撮りました。国内外の作家さんを施設に招いて、創作してもらうという企画をやっているみたいです(今もやっているのかは不明でした。施設は使われていない模様……)。
▼建物自体は、広い敷地に点在しており、多くは円形をしていました。ロクロで作る陶器をモチーフにしているんでしょうかね?
▼ちょっと用途のわからない建物もあり、公共建築として税金の使い道としてよかったのか、なんとなく釈然としないものもありますが、散策するのは無料です。
▼ハイキングコースもあります。
▼釜戸もあって実際、陶器を焼いているみたいです。
▼燃料。こういうのに心惹かれてしまう。
▼公園にもなっていて、大学生っぽい人たちがキャピキャピしてました。今はその若さに嫉妬……。
◯まとめ
そんな感じでリサ・ラーソン展のレポートでした。
滋賀県での公開日は、もうすぐ終わりですが、週末にお出かけになられてみては?