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アフター・アースの感想【ネタバレ有】

最近は暑くてインドア指向で、おもちゃしか買っていません。ブログの記事もおもちゃレビューが続きそうです。なんだか不健康な感じがするので、合間合間に最近、映画館で見た映画のレビューを書こうと思います。

 

今回はM・ナイト・シャマラン監督のアフター・アースです。ウィル・スミスとその実子が出演しています。

物語のあらすじとしては、地球を飛び出した人類が、新たなる母星とした星があります。人類は、生存競争として、原生生物アーサと交戦を余儀なくされます。主人公のキタイは、史上初めてアーサにとって天敵となる能力を発現させた偉大なる将軍を父として持ちます。

彼は、とある事件をきっかけとして、父との関係に大きな軋轢が生じてしまいます。なんとかして関係の修復を図りたい父は、捕らえた原生生物アーサを使った軍事訓練に息子を誘います。

しかし、軍事訓練予定地に向かう宇宙船が事故にあり、関係のギクシャクした親子は、人類が捨てた、かつての母星・・・地球に不時着を余儀なくされます。現在、地球の環境は、夜は氷点下となる過酷な環境、敵性生物が跋扈するウィルダネスとなっていました。親子はロビンソン・クルーソー的な状況から、果たして母のいる故郷に帰れるのか? というお話です。

 

以下、ネタバレとなりますので、”続きを読む”で一旦切って置きます。

 

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◯導入部分の適当さに違和感

作りの悪いダイジェスト映像のような導入部分で、予告編と勘違いをしてしまいました。「あれ? 始まってた?」と言う感じで面食らいました。

 

◯名前について

弟を守り、非業の死を遂げた姉に”センシ=戦士or戦死”と名付け、対アーサ戦の最強の戦士の息子の名前が”キタイ=期待”と日本語が使われています。

原生生物の名前、アーサとは、先住民族を守るため、アングロ・サクソン民族の侵略を戦い、後の聖杯伝説のアーサー王のモデルとなったローマン・ケルトの将軍から取られているのではないかと思いました。つまり、地球を捨て、違う星に勝手に移住してきた人類は、客観視すれば侵略者(インベーダー)であると言うことを示唆しているのではないでしょうか。

 

◯ゴースト化について

原生生物アーサの特殊能力として、人間が恐怖すると分泌するホルモンを嗅ぎ分けることができます。この能力によって、アーサは人類を容易に追尾することができるのです。主人公キタイの父である、ウィル・スミス扮する将軍は、感情を完璧にコントロールする事で、恐怖を相克し、視覚能力のない原生生物アーサから見えない存在=ゴーストとなります。

カッコイイ設定ですね。たった一つの生物にとっての天敵となる能力なので、チート過ぎないさじ加減がいいです。戦闘能力なのに、内省的だし、トンデモ過ぎないし。映画はウィル・スミスが原案なのですが、このあたりの設定はインド人である監督が考えているのではないでしょうか。

 

◯親子の情は描けたけれど、人間の業は深い

なんだか、ウィル・スミスの親馬鹿っぷりが爆発という感じです。残念ながら、舞台を地球に設定した理由が、スケールの大きな場所で息子を活躍させたいという事以外にみつからない。環境破壊によって住めなくなった地球を捨て、新しく見つかった他所の星を、また侵略するなんて、なんて業の深い生き物なのでしょうか。映画の中で、巨大な猛禽類が自分の命を賭して、人間であるキタイを守るシーンがあるのですが、僕たちは奪うばかりで自然に何も返すことができないと、なんだか無力感を誘う映画でした。人の手の入らない世界は、悪魔の世界だという、キリスト教的世界観は、ちょっと残念でした。

 

◯ひねりの無い覚醒シーン

不時着した宇宙船から逃げ出した原生生物アーサにキタイは追い詰められます。そして、対した理由もなく、父と同じくゴースト化を果たし、アーサを殺します。覚醒の中で、姉であるセンシが自分を守り、そして死んでしまったシーンが交錯します。彼は、幼さを理由に、観葉植物用の密閉ゲージに隠れ逃れていたのです。「殻から出る時が来たのよ」という姉の言葉を幻聴することで覚醒を果たします。こうして、物語はフィナーレを迎えるのですが、正直、このシーンが勿体無く思えてなりません。

上のセンテンスでも書きましたが、地球にとって折角生態系のバランスを戻したところに、アーサという外宇宙の生物を持込、無茶苦茶する。人間というのは厄介者でしかない。

ココで、さっき書いた猛禽類の卵がひとつ残っていて、その卵を守る=姉の行動を追体験する事で、ゴースト化するという方が、美しい覚醒シーンになっただろうし、わざわざ地球という舞台設定にした理由にもなると思いました。次世代の子どもが、親が環境破壊しまくった地球に、ほんの僅かでも何かしらの恩返しのようなものができた、という感じです。

 

◯総合評価

いろいろ書きましたが、悪くない映画だと思いました。僕ならこうするなあ、という意味で、いろいろ考えさせられました。

 

 

映画にしろ、何にしろ、作る行為に比べて、消費することにかかる時間と労力って、恐ろしいほど少ないですね。でも、消費する側の批評というのは、時として、すごく残酷です。そう言う意味で、消費者というのはズルい存在です。だから、対価(労働した時間)を支払っているのです。

悪評を書くとしても、なにかしら生産性のある事を書こうと心がけています。

最後、何だか支離滅裂でまとまらないなあ。