※終盤のネタバレと、極度の妄想を含みます。
フロム脳というのは、あまりテキストやカットシーンなどで、詳細を説明しないフロムソフトウェアのゲームで、場面状況やアイテムのフレーバーテキストから、妄想を繰り広げて、拡大解釈を楽しむ作法です。
霧がかっていたマップがようやく埋まり、話が佳境を迎えてきました。そろそろ終盤。こんな長時間飽きずに遊んでるゲームもないですよ……。
何個か書いた妄想記事も、勘違いが結構でてきましたが……そうやっていろいろ考察できるのが、このゲームの正しい遊び方だと思います。
例によって、コメント欄は公開していますので、自由に書き込みして頂いて大丈夫ですが、正しい・間違ってる等が書かれて、まだ途中なのに僕自身がネタバレ喰らいたくないので、書き込みあっても僕の方からリアクションはしませんのでご了承ください。
今回は、狭間の地の社会構造(ヒエラルキー)についての妄想・考察です。おそらく、これがエルデンリングの核心部分であり、これを解き明かすことこそがゲームのテーマなんだと思います。
褪せ人は狭間の地の社会構造の最下層であり、外の存在
ゲームを始める当初、狭間の地の社会構造はシンプルでした。
頂点に立つ永遠の女王マリカが隠れ、黄金律の象徴たるエルデンリングが砕けてしまいました。砕けたリングは、大ルーンとなり、デミゴット達に宿ります。デミゴットたちは、マリカの伴侶である王を目指しますが、ルーンの膨大な力に狂っていきます。
当初の目的は、かつて狭間の地を追われた祝福なき民、褪せ人であるプレイヤーが、王として不適格なデミゴットを倒し、ルーンを集めて、王になるというものです。
このときの社会構造は、女王マリカを頂点とし、次に王、その下に貴人、その下が色々な人々、最下層が褪せ人というものです。
しろがね人、忌み鬼、狂い火……狭間の地の社会構造は、強烈な差別が蔓延っています。ただし褪せ人は、トランプの大貧民のように、一位を取ると社会構造をひっくり返すことができます。なので、最下層であり、外の存在でもある。
だんだんと明らかになると同列の存在・上位存在
ストーリーを進めていくうちに、女王マリカ以外にも同列たりうる存在が明らかになっていきます。
たとえば、かつて共に狭間の地へとやってきた(かつての褪せ人のように……)マリカと同郷の一族である稀人。そのルーンは、英雄や王のそれ以上であるため、かつてはマリカと神人の座を巡って争い、一部は黒き刃のように共闘したのでしょう。
また、デミゴットたちは、狂っていても王の資格を持つものです。各地の動く霊廟の中には、頭部のない王の遺体が安置されています。最初のデミゴットの死者は、死王子ゴッドウィンと月の王女ラニなので、その後に死んだのかな、と最初は思いましたが、僕の想像では、かつて狭間の地では、マリカの他にも別の神人がいて、その伴侶となった王がいた、ということなのではないでしょうか。
狭間の地では、何度も神人と王が現れては消え、今はマリカの治世であり、今回また別の神人が現れようとしている……ということではないでしょうか。
さらに、女王より上位の存在として、○本指というのが現れます。その○本指の上の存在……それが黄金樹です。その黄金樹も、かつては巨人に焼かれそうになりました。巨人たちは、黄金樹を頂点とした社会構造を壊したかったのかもしれません。地下墓地には、木の根に絡まった死体があります。僕にはどうも、養分を吸われているように思えました。死体のルーンを黄金樹が吸い取り、巨大化しているように思ったんです。
もしかすると……黄金樹にも、同列の木があるのかもしれません。そういえばミケラの聖樹という場所がありました。新しい神人が現れるたびに、古い黄金樹は枯れて、新しい聖樹が生まれるという想像です。
ヒエラルキーの頂点
そういえば、月の女王レナラは、幼いころに満月に見出された、とされます。リエーニエにはしろがね村という地名があり、ここには人工生命体らしきしろがね人がいます。
黄金樹、と白金……なんだか符号する気がしませんか。
もしかすると、満月に後ろ盾された神人が女王に就くと、白金樹が生まれ、しろがね人をヒエラルキーの頂点とした新しい律がうまれるのではないでしょうか。
地下世界には星の落とし子という存在がいます。
月のように色々な星が神人(女王)の後ろ盾となり、それを繋ぐ架け橋として聖樹がうまれる。
かつて、狭間の地では、様々な星々が、支配権を巡って神人と王を立てて、争っていたのではないでしょうか。
どこかのフレーバーテキストで、太古の黄金樹は赤かったと書かれていました。その時は、なにか別の星が後ろ盾なっていたのかもしれません。
今の黄金樹の星は、なんとなく太陽っぽいですね。
神授塔とは
デミゴットを倒すと大ルーンを得ることができますが、その力を開放するには対応した神授塔を登る必要があります。正直、なんでそんなまどろっこしいことする必要あるんだろ? って思いました。
倒して即大ルーンゲットでもゲーム的には問題ないでしょう?
このような複雑なプロセスをふませるのは、重要な世界設定が含まれているという証左です。
ラニは、肉体を殺すことで、大ルーンを放棄しています。そして、ラニはデミゴットであると同時に、二本指によって選ばれた神人でした。
つまり人は、王にもなれるし、デミゴットにもなれるし、神人にもなれるんです。
そのための装置として、神授塔は機能するのではないでしょうか。
この大きくそびえ立つ神授塔と似ているものがあります。
黄金樹(聖樹)です。
王(デミゴット)の状態では神授塔ですが、神人となると聖樹と変化するのではないでしょうか。
黄金樹もかつてはマリカ(あるいはゴッドフレイの)神授塔だったのではないでしょうか。
まさしく、星から神としての権限を授かる塔なのです。
エルデンリングとは、黄金律のこと、そして、黄金律とは社会構造のことを指しているのでは?
エルデンリングが砕かれ、黄金律が乱れた……プレイヤーは王となりリングを修復して黄金律を正常化する必要があります。
それには、下剋上上等で、王候補達が争い、人々が裏切る、今の状況を正常にすること。
つまり、リングが砕けた、ということは、まさしく今の社会構造の乱れそのものなのではないでしょうか。
星の導きを頂点として、聖樹が天と地を繋ぎ、神人(女王)と王が正しく在位することで、ヒエラルキーが正常化する。これこそが律なのではないでしょうか。
王になれ、とは要するに社会構造をきちんと制定せよ、ということです。
おそらく女王マリカは、社会構造を壊すようなことをしてしまった。これが発端なのではないでしょうか。