今週のお題「自分に贈りたいもの」
東京の中古ゲームショップ、スーパーポテトが正月に販売した、100万円福袋が炎上している。
騒動を要約すると、店側が勝手に有名動画配信者用に、通常よりも良い内容物や、配信者が欲しいものを封入したというもので、店側も認めている。
被害者は、早朝より長時間ならんだあげく、最初からハズレの福袋を買うしかなかった出来レースだとして、店側の販売方法に不満をぶつけている。
最初に気持ちの話を言っておく。被害にあった人の心情を考えると、自分のことのように怒りがこみ上げてくる。店側の、人の感情を逆撫でするような、余計な一言にも憤慨する。
さて、これをなにか詐欺罪だとか不当表示とか適応できるのだろうか？
僕が思うに残念だけど、無理だと思う。
なぜなら、被害者は……何も損をしていない。
他人より自分の内容がショボかった、それは買う前から決まっていた、というのは気持ちとしては残念だ。
しかし、100万円の福袋の額面以上の内容が入っていたのだから損はしていない。
福袋なのだから、何が入っているかは店側次第だ。
誰に売るかも店側次第だろう。
また、これは被害者本人が言ってるが、店側が勝手にしたことである以上、忖度された側にも非はない。
あとは被害者の気持ちの整理をするしかない。
余計なお世話かもしれないが、被害者は……大きなチャンスをふいにしてしまっている。もう後の祭りだが、そのことを指摘したい。どうして失念してしまったかも予想する。
この記事が本人に届くかわからないが、被害者のコレクター人生のスタンスを見つめ直す一助となれば嬉しい。
※内容について、間違いやヌケなどあればご指摘ください。
詳しい経緯
当日早朝から開店前に列んでいた客のうち、100万円福袋を購入希望したのは3名だった。
しかし、当日用意されていた100万円福袋は2つ。
列の先頭は、被害者であった。当然、購入を希望。
この時点で、福袋の在庫はあと一つ。
購入希望2人目は、レトロゲームコレクターとしては界隈では有名だが、一般には無名のコレクター（書き方悪いけど、貶す意図はないです）。
購入希望3人目は、去年も100万円福袋を購入し、動画がバズった有名配信者かつコレクター。
列の二番目の無名のコレクターは、自分よりも去年も購入した人が相応しいと有名配信者かつコレクターに100万円福袋購入権を譲り、50万円福袋を購入。
有名配信者かつコレクターは、100万円福袋を2年連続で購入した。
被害者は、１００万円福袋の開封動画を撮影。
例年通りの内容で、１００万円に対して１２０万円程度の総額となり、概ね満足する。
有名配信者かつコレクターが１００万円福袋の開封動画を撮影。
内容は、被害者と同程度、１００万円に対して１２０万円程度の総額。しかし、目玉となるアイテムが、「たまたま」有名配信者かつコレクターが狙っていたタイトルだった。今までの福袋の傾向にはなかった偏った内容だ。
被害者は若干の不信感を感じる。
当日用意されていた100万円福袋は2つだったので、本来なら１００万円福袋の開封動画はこれで終わりのはずだ。
しかし……存在しないはずの３つ目の福袋が登場する！
これが超大物動画配信者のチャンネルから公開された。
内容は、被害者、有名配信者かつコレクターの１２０万円相当よりも６０万円も上乗せされた総額１８０万円にも及ぶものだった。
被害者は、さすがにこれはオカシイと店舗に突撃する。
店側の対応は以下の通り。
- 有名配信者かつコレクターに店側が勝手に特別な内容の福袋を用意したことを認める。
- 超大物動画配信者向けに店側が勝手に３つ目の福袋を用意したことを認める。
- 超大物動画配信者の内容が他の福袋よりも高額だったのは、スタッフの入れ間違い（わざと内容良くしたわけではない）。
- 正直、この福袋は一般人向けじゃない。
- 返品・交換には応じない。不満なら警察へ。
- 買取（もちろん売値１００万円以下になる）なら応じる。
４つの論点
１．追加で福袋を用意するのは不当か？
これは、昨年も追加で用意されたらしいので、当日販売分は２つだった、とすると逃げることができる。
有名配信者かつコレクターは昨年追加分で購入している。被害者は、購入希望者が３人いたのに、一人買えなかったことを指摘しているが、もしかすると次の日に店舗へ行けば、有名配信者かつコレクターが買いに来るかも、と店側が用意した可能性はある（これはただの予想）。
特定の人向けに用意した、という部分は引っかかるが、どのような販売をするかは店側のすることだろう。不義理とは思う。他業種だが、iPhoneなんかも、大口契約者向けに予約なしで買える在庫があるらしいし、これを不当とするのは難しいと思う。
２．特定の人向けにカスタムした内容を渡すのは不当か？
これも不義理だが、不当とするのは難しいように思う。
福袋という特性上、中身がなにかは店側次第だ。ランダムじゃない。店側が決めるのだ。
被害者だけ、自分の希望の内容じゃないと憤るかもしれないが、無名の人が希望する内容をどうやって知るというのだ。……お前、俺の心を勝手に……！ それは無理だろう。
しかも、被害者に渡った福袋の内容は、被害者自身が予想した、昨年の内容と変わらなかった。
３．総額にバラツキがあるのは不当か？
件の福袋が担保していたのは、総額購入額以上というもののように思う。
なので、総額１２０万円相当だろうが、１８０万円相当だろうが、問題ないと思われる。
証拠に、同時に販売された５０万円福袋は、内容物が金額以上ではないとして、後発送で内容が追加された。
４．１００万円福袋は一般向けか？
僕が一番言いたいのはここである。
断っておくが、僕には１００万円をポンと出せるなんて金持ちだなー、みたいな嫉妬や、ヤッカミはないからね。
被害者の一番の不満は、誰でも買える福袋なのに、実は一般人お断りの動画配信者向けじゃないか、ということだ。
個人的感覚から言うと、１００万円なんて高額福袋は……やはり一般向けではないと思う。
その証左になるかはわからないが、100万円福袋は数年前から販売されていたが、去年までは購入者はすくなくて、売れ残って解体されて通常販売されることが通例だったようだ。
去年は、有名配信者かつコレクターの動画がバズったこともあり、今年は例年にない盛り上がりがあった。
思い出してほしい。
最初売られた２つの100万円福袋の購入希望者であった無名のコレクターは、自分よりも相応しい人がいると、有名配信者かつコレクターに購入権を譲っている。
このことを踏まえると、店側も客側も、この100万円福袋が動画配信向けのネタ商材という属性が高いことを認識しているように思う。
被害者は何者なのか？
被害者の気持ちに折り合いをつけるのは、この部分だ。
彼は一体何者なのか？
レトロゲームコレクター？ それとも動画配信者？
レトロゲームコレクターであるなら、どうして内容が自分の狙い通りにいかない１００万円福袋を購入したんだろう？
１００万円あれば、自分の希望どおり、狙ったタイトルが買えるだろう。
動画配信者であれば、どうしてこの千載一遇の美味しいネタを活かさないんだろう？
被害者は、動画配信もやっていて、この件を長尺の動画にしているんだが……正直まとまりにかけていて、途中離脱してしまう人が続出している。爆発力のある良い動画とは言い難い。
有名配信者かつコレクターは、店側は勝手にやったと言っているが、実は裏で繋がっているのではないか、という追求があるらしく、釈明動画を出している。さすがは人気配信者である。短く、要点をかいつまみ、喋りは流暢で、良い動画である。この件の前から視聴していた配信者だったので、肩を持ってるようだが、配信者としての実力差は感じた。
有名配信者かつコレクターは、福袋の内容を別にとやかく言うつもりはない、と動画内で何度も言っている。それは、コレクターであると同時に、自分が動画配信者であるということを自覚しているからだと思う。
無名のコレクターは、自分は１００万円福袋を買うに適格ではないと辞退し、５０万円福袋を購入し、結果的に追加補填分で１００万円相当の内容を得た。
両者は、自分のスタンスを確立しているように思う。
これから先、被害者はどういうスタンスで活動していくのか自分を見つめ直すいい機会だと思う。ピンチをチャンスに変えて、自ら人気配信者となるのか、あるいは地道でも実直なコレクターとなるか。
どうも被害者は、レトロゲームコレクターの気質が強いように感じた。
ちょっとしたスケベ心で、もしかしたら注目されるかも？ と１００万円福袋に手を出してしまった。
これを責めるつもりはない。ちょっとスタンスがあやふやだっただけだ。人間だもの。
今回の教訓は、内容次第で気落ちするような金額の福袋を購入すべきではない、ということである。偉そうな感じですみません。
