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アベンジャーズ エンドゲーム[吹替版]のレビュー

 

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ネタバレ回避のため、公開二日目に観てきました。

前編となるインフィニティ・ウォーがケチのつけようのない傑作でしたので、ずっと楽しみにしていました。

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そして、2008年公開のアイアンマンから始まったマーベルシネマティックユニバースも一旦の区切りとなります。

スパイダーマンファーフロムホームでフェイズ3が区切りとなるそうです。

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思うところはありますが、感無量です。

リアルタイムでこの結末を目撃できて良かったです。

多分、製作者側もイロイロ問題を抱えていることをわかっているんだと思うけどな。それでも10年以上MUCのファンでいてありがとう! と言う気持ちをこの映画に込めたんだと思います。

批判的意見は許さねぇって人は読まないでくださいね(笑)

以下、ネタバレ感想です。

ご注意ください。

 

 エンドゲームの意味

前作のサブタイトル「インフィニティ・ウォー」はインフィニティストーンを巡る戦いだったので、そのままストレートに捉えました。今回のタイトルは、テレビゲームなどを連想したので最初チャラいな、って思ったんですが、改めて辞書を引きますと……

  1. 最終段階、終盤、大詰め、寄せ
  2. チェス用語、駒が数個しか残っていない終盤戦のこと

……となります。どちらの意味もなるほど! となりました。

特に二番目の意味の方は、サノスの指ぱっちんによって、初期主要メンバーとウォーマシンの人しか残らなかった状況を的確に表していると思いました。ロケットも居ましたね(汗)

ロケット、ウォーマシンの人は脇において(可哀想!)、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ブラックウィドウ、ホークアイ、ソー、ハルクについては、最後の戦いという意味だけではなく、人生の最終局面と言うに相応しい。作中では、対照的な描かれ方をしているペアがいると個人的には思っています。比較していきますと……

 

まずはソーとハルクです。どちらも強いキャラクターですが、サノスにはコテンパンにやられました。

ソーは親類親兄弟を失った上だったので、心中はすごいことになっていたと思います。指パッチンしたあとの抜け殻のサノスをあんなふうに首チョンパしたのは、憎しみとともにサノスに勝てなかった不甲斐なさゆえなのでしょう。その後、モヤモヤを抱えながら、新アスガルドで引きこもってビール腹になり、オンラインゲームで、ネットから虚勢をはるのが精一杯という顛末です。

一方のハルクは、制御できない凶暴性が持ち味だったのにかかわらず、まさかの敵前逃亡をします。その後ブルース・バナー博士はというと、ハルクとの対話によって、二重人格でいうところの人格統合を果たします。

同じサノスに負けた者であるにもかかわらず、対象的な結果が印象的でした。

 

次にブラックウィドウとホークアイです。

前作登場しなかったホークアイは、家族をまもるために司法取引をしたのでしょう。その家族を失ってしまい、それから五年後、いきなり行政機関をまともに運営できなくなった混乱した世界で、殺しを基本とする汚れ仕事を請け負うようになった。

ブラックウィドウはもともと孤児であったうえに、特殊工作員として弱点となりうるような家族や恋人をもっていません。もしかしたら、ハルクとの関係がそうなりかけていたのかもしれませんが、成就しなかった。そんな彼女がアベンジャースとして命を賭した理由とは、アベンジャースそのものが彼女にとってかけがえのない絆・家族であるということでした。

ソウルストーンの試練にこの二人を向かわせたのは、なんて残酷なシナリオなんでしょうか……。お互いが命を投げ出し、二転三転するあの場面は、すごかった……。

 

最後にキャプテン・アメリカとアイアンマン。

この二人は水と油で、バックボーンも性格も生まれも両極端にあると言って良いと思います。同じヒーローでありながら常に衝突しあう。

アイアンマンは、金持ちのボンボンで、性格は自由奔放。キャプテン・アメリカは兵士で、自分を犠牲にしてでも他の人を救いたいという自己犠牲の人。今回の二人の結末は、この二人の性格とは想像もつかないものでした。

アイアンマンは、五年の間に手にしたものを守ろうとして当初時間泥棒作戦を断る……でも実は、自分がヒーローの道に引き込んで死なせてしまったスパイダーマンのことを思い、アントマンと同じ時間遡行という結論に達していました。普段の表面上のちゃらんぽらんさとは想像もつかない責任感で、最後はキャプテン・アメリカのような自己犠牲の精神を発揮して、自分の命をも犠牲に、勝利を勝ち取ります。

一方のキャプテン・アメリカはと言うと……インフィニティ・ストーンを過去に戻したあとで、アイアンマンを彷彿とするような……自由気ままな一人の人間として未来へと戻らないという道を選択します。

この二人の決断、皆さんはどう思いましたか? 僕はどちらも感動的に思いました。

年老いたキャプテン・アメリカに、ファルコンが言います。

「ペギーとの暮らしはどうだ?」

それに答えるキャプテンは「想像にお任せするよ」セリフ微妙に違うかも。

そのあと、過去に飛んで、キャプテンとペギーがダンスしてスタッフロール。

映画見ていたときは、キャプテン・アメリカ、お疲れ様……の気持ちだったんですが、なんで「想像にお任せするよ」なんだろうって、違和感がありました。

そもそも「ペギーとの暮らしはどうだ?」なんて野暮だし、嫌味にも思える。

キャプテン・アメリカの薬指の指輪を見て、察して微笑むだけでいいんじゃないか……僕は一晩経って気がついたんです。

シビル・ウォーの時、ペギーの孫といい感じになってたじゃん! って。仮にですが、ペギーと結婚して子供が生まれて、その孫がガールフレンドだったら、論理的に完全にアウトです。

キャプテン・アメリカは、過去に飛ぶ時点でわかってたんじゃないでしょうか。絶対に二人は結ばれない運命なんだって。それでも彼は過去に残るんです。あのダンスのあと、もしかしたら、それっきりなのかもしれない。

だから、「想像にお任せするよ」なんです。

 

サノスにおけるエンドゲーム

アベンジャーズにおいてもエンドゲームだったように、サノスにとってもエンドゲームだったと思います。

インフィニティガントレットがなくても、彼は強く、揺るがなかった。僕はどうしても彼が悪いやつには思えないんです。彼の目的である宇宙の知的生命体を半分にするというのは、なにか裏に調和をもたらす以上の意味があったのではないか……と思えてなりません。アメコミでは、実は非常に個人的な理由があることを知ったのですが、その方がしっくり来る。

インフィニティ・ウォーの感想で書きましたが、その理由が今回明かされるものと思っていました。

僕がこの映画でほしかったのは、戦いではなく、ヒーローとヴィランの対話でした。

ソーがサノスの首を落とした瞬間、やはりこの映画はサノスを倒す映画ではないんだ……と確信したんですが、まあ……違いましたね。

キャプテン・アメリカが心に傷をおった一般人と対話をしているシーンがありましたね。同じような状況で、ヒーローコスチュームを着たヒーローとサノスが話し合う……そんなシュールな絵面が見たかったです。

例えば、宇宙の知的生命体を半分にすることで、回避できる真の敵がいたとする。それを倒すとアベンジャーズがサノスに約束する。サノスはもう一度指パッチンして半分になった人やヒーローを復活して、死ぬ。未来をヒーローに託す……というシナリオです。ドクター・ストレンジがあっさりタイムストーンを手放すことにも整合性とれると思うんだけど……。ラストバトルで復活するヒーローたち、女性チームも集合して真の敵とたたかう! クライマックスの流れも変わらない。

アイアンマンが指パッチンで、敵勢力を有無言わず消去しちゃうって、独裁者によるホロコーストと同じじゃないですか。もしかしたら、サノスの手下にも家族がいたり、無理やり戦いに駆り出されたものもいたかもしれない。これが正義の執行だなんて恐ろしいですよ。これまでのマーベル映画のメッセージとしては前時代的すぎる。悪者のレッテルをはったサノスとヒーローが実は同じことをやっている。

 

お前がバック・トゥ・ザ・フューチャーを馬鹿にするな

サノス自身を説得して世界を元に戻すという手段をとらない以上、タイムトラベルを使うというのは、正直アイアンマンが言うように天才だから気がつくってほどの妙案ではありません。たぶん、観客みんな思ってた。

劇中でバック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムトラベル理論をコケにしていたけれど、エンドゲームもかなりポンコツでした。

 

世界最高の頭脳がアベンジャーズには何人もいるけど、自分の口から出た理論を理解できていない。

過去に戻って子供のサノスの首を絞めたらという作戦に残酷だから、と言って却下しましたが、ここは子供のサノスを始末しても未来は変わらない、と言うべきだった。

ネビュラは過去の自分を殺したけれど、バック・トゥ・ザ・フューチャーのように存在が薄くならなかった。追記:ご指摘でネビュラは機械だから死んでいないのでは、と。自分の体だから動力部などを狙って機能を停止させたにすぎない。……とは言っても、過去の自分を破壊しても、それが未来に対して影響しない、と言うのは証明されていると思います。

過去のサノスを指パッチンで始末しても、現代は書き換わらなかったでしょう。サノスやネビュラがいない未来というパラレルワールドが出来ただけです。子供のサノスを殺したとしても同じ。直接未来が書き換わることにはならない。

失われたインフィニティ・ストーンを手に入れるため、過去に戻り過去作の裏側で展開するというのは、ファンサービスとして、とても面白かったけれど、やっぱりタイムトラベルは禁じ手なんです。パラドックスの発生は不可避だし、チートすぎる。問題を解決する手段と言うより、過去作の裏側へ行って、観客を楽しませる意図だったんだと思いますので、野暮な指摘かもしれませんね。

ピム粒子が使い放題の今だったら、ヴィジョン以外はやろうと思えば全員復活できますよ。アイアンマンも、ブラックウィドウも、ロキ、ヘイムダル、ソーのおかあさんも。存命している時間にタイムトラベルして、適当な未来か過去に拉致すればいい。キャプテン・アメリカが過去に残って未来まで生き残ったことでそれが可能だと証明しています。ただ、これをやると、〇〇がいないパラレルワールドが生成されるだけなんで、意味無いですけど。

ラストシーンでガモーラがいなかったのは、おそらく彼女はサノスとネビュラが死んだパラレルワールドに戻ったのでしょう。エンドゲームの世界は、サノスとガモーラが死んだ世界。この2つに分岐したということです。

ここで疑問なのは、キャプテン・アメリカはどっちの世界線にいることになるんでしょうか? また、個人的にインフィニティ・ストーンは返さない方がよいのではないでしょうか? なければ指パッチンできないパラレルワールドができるんだし……。

このように、タイムトラベルはあんまり使ってはいけない手段だと思います。次からそれありきになって、使えない後出し設定付けなきゃならない。

 

MCUの今後について

キャプテン・アメリカ役の人は今回が最後ということで、ファルコンに盾も継がせたし、もう登場はなさそう。逆にアイアンマンの人は降りるとはいってないので、死んだあともチョイ役で出てきそうですね。娘が二代目アイアンマンを継いだときに、ビデオメッセージや過去編とかに登場したり。あと空白の五年間の間に誕生したヒーローのサポート役とか。

ハルクも戦闘要員として復帰はむずかしそう。ブラックウィドウの単独映画は過去編でしょうか。ホークアイもそれに絡むかな。

このあと直接つながりがありそうなのは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーですね。ソーの参加は想像できなかった! 監督も戻ってきたし、とても楽しみです。

指パッチンによる五年経過、そののちの復活というタイムラグが面白いと個人的に思っています。スパイダーマンでは、普通に友達と再会して学校が再開してましたけど、厳密には在校生の半分はすでに卒業している。ゲスな想像ですけど、カップルの片方が取り残されて、五年の間に新しい恋人ができる。五年後復活してみたら、一方的にカップル解消されていたってなんかドラマティックですよね。ホークアイの兄弟はみんな一気に消されたけど、仮に兄、姉だけ消えていたら、年上の弟や妹って状況もありうる。この設定をうまく生かしたら、結構面白いと思うんですけど。

 

個人的にシビル・ウォーやインフィニティ・ウォーに比べると完成度は今ひとつに思いましたが、この二作以上に考察や妄想が膨らむ作品でした。

絶賛されている人の気持ちもわかりますし、僕も満足しています。

素晴らしい作品だと思います。

 

追記:いろいろな人の記事を見て、気付かされた感想は、タイムトラベルと言う、いわば何でもありなチート能力を使いつつも、すべてが元通りになんて都合の良いことはできないと言うことなんですね。サノスがいない世界や、インフィニティストーンが無い世界ができたとしても、それが最良の世界とは言えない。キャプテンアメリカが過去へ戻り、彼が今まで起こったあらゆる不幸……バッキーの洗脳や、ハワード暗殺などを阻止しなかったのはそのためかもしれません。ヒーローにだって限界があると言うこと。

ヒーローたった一人が全人類の責任全部背負うっていう不平等もこれを最後にしよう、ってメッセージなのかな。

個人的評価として、MCUのラストを飾るにふさわしい作品だと思いますが、作品単体としては、シビルウォー、インフィニティウォー、ブラックパンサー、キャプテンマーベルの方が好きですね。

 

さらに追記の手のひら返しレビュー

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