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映画ボヘミアンラプソディの感想

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非常に評判の良い映画ボヘミアン・ラプソディを見てきました。

イギリスのロックバンド「クイーン」のバンド結成から、リードボーカルであるフレディ・マーキュリーがエイズによる免疫不全で肺炎で亡くなるまでを描いた映画です。

クイーンについては、ドラマやCMなどで曲を知っている程度で、特に思い入れはないです。

 

個人的に途中まで微妙な映画に思ってましたが、最後のライブエイドのシーンで鳥肌たちまくり、涙があふれて止まりませんでした。いろいろグチグチと考えていたものがぶっ飛んで、音楽そのものが物語やストーリーテリングを凌駕していきました。

 

以下、ネタバレあり。

この映画、バンド「クイーン」の自伝映画ではなく、リードボーカル「フレディ・マーキュリー」の映画なんですよ。確かに、フレディ・マーキュリーにフォーカスせざるを得ないのは理解できます。天才シンガーであり、インド人であり、バイ・セクシャルであり、のちにエイズに発症し、45歳の若さで夭折してしまう。波乱万丈の人生は映画にして然るべきです。

その一方で他のバンドメンバーも大変魅力的に写りました。天文学者のギタリスト、歯医者のドラム。映画の中ではフレディのついでのようにやってきたベーシストも才能があり、作曲能力を持ってるなんて、奇跡じゃないですか。もっと深く描いて欲しかったです。

 

映画のあと、フレディ・マーキュリーをウィキで軽く調べましたが、映画と違う部分がありますね。今回の映画では、特に性的嗜好にフォーカスが当たっていたように思いますが、彼はインド人であるという出自もかなり気にしていたようです。その部分は家族(父)との軋轢で描いていたような印象ですが、もっと踏み込んでも良かったような気もします。ロックスター、性的少数者、異民族と複雑な要素が絡まり、どれだけ孤独感に苛まれたか。そういう描写は一瞬匂わせるだけで、想像を膨らませなければいけない部分が多かったように感じました。逆に気難しい部分や癇癪をおこすような場面が多く、同情しがたい嫌なヤツという印象が強かった。

 

無名時代から付き合いのあるガールフレンドと結婚、破綻後も生涯友人関係にあったというエピソードは、彼の人柄が伺えますね。愛猫家の描写も良かった。映画では描かれていないのが残念なのが、親日家で日本語もかなり喋れたということ。クイーンのメンバーって全員インテリなんですねぇ。

 

映画の前半は、フレディは同性愛者なんだぜ、って言いたいだけかよ、つまんねー映画だな、と思っていたんですけど、後半から自分に都合のいい人間が本当の友人ではない、時に反発しいがみ合うような人たち(バンドメンバーや家族、自分に言いなりにならずに身を引くような人)が自分にとってかけがえのない人間なのだと気づいていき、ぐっと話に厚みが増していきます(正直、ジム・ハットンとの出会いは唐突すぎて意味不明でした。髭面の2人のキスシーンはキツかった。LGBTに理解はあるつもりですが、だからといって見たいわけではござらぬ)。

 

圧巻は最後のライブエイドのシーンです。映画のどのシーンよりも説得力のある20分間でした。

編集センスがないなーと思ったのは、演奏中にチャリティーの電話がなるシーンが挿入されたこと。あれは逆に興ざめでした。音楽があれば何もいらなかった。クイーンの演奏で100万ポンド達成した、って言いたいのかもしれないけど、そんなのどうでもいいよ! って思っちゃった。何万人もの観衆が一体となり踊ってうねり、歌う。孤独感にさいなまれたフレディが、真に救われた瞬間……それだけで十分なのに。

 

 

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

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