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映画レディ・プレイヤー1[4DX/吹替版] - 向こう側から帰って来れない人に

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僕にとって、人生最高の映画でした。

原作本がとても良かったので期待する反面、あの内容をたった140分にできるのか、ちょっと不安でしたが完全な杞憂でした。

小説版か映画版かどちらかしか体験していない人に言いたいのは、もう一回楽しめるくらい内容が異なるということ。共通したシーンもあり、あらすじは同じですが、同一タイトルをリライトしたと言っていいくらい、新鮮な気持ちで楽しむことができます。

サブカルチャーにどっぷり使って、「現実なんてクソゲーだ」なんて言っちゃう、向こう側から帰って来れない人には、メッセージ性が胸に突き刺さる映画でした。

 

以下、ネタバレを含む(映画をより楽しめるように小説版の内容で補完もします)感想になります。

 

あらすじ

あらすじいまから27年後の世界。

人類はゴーグル1つですべての夢が実現するVRワールド[オアシス]に生きていた。そこは、誰もがなりたいものになれる場所。

無敵のヒーローやハーレークイン、キティだってなれる夢の世界!

ある日、オアシスの天才創設者からの遺言が発表される ーー「全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界のすべてを授けよう」と。

突然の宣告に誰もが沸き立ち、56兆円をめぐって、子供から巨大企業まで全世界の壮大な争奪戦が始まった! 果たして想 像を超えた戦いの先に、勝利を手にするのは一体誰だ!

引用‐レディ・プレイヤー1 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks

 

簡単に言うと、ヴァーチャルリアリティ世界を舞台とした宝探し。

VR空間「オアシス」を作ったハリデーが隠したイースターエッグを手にした者は、莫大な財産と、その世界を運営する企業のオーナーになれます。

27年後の世界は、人口増加や資源枯渇などにより、貧困と飢餓が蔓延する大変な時代になっています。主人公のウェイド・ワッツも「クソみたいな現実」を変えるために、「ハリデーのイースターエッグ」を探すエッグハンター(ガンター)となります。

 

小説版から補完すると、電脳空間「オアシス」はインターネットの上位互換となっており、その使用料は基本無料とし、ルービックキューブ状になった広大な宇宙(たしか現実の宇宙より広いって設定だったような? 銀河系16個分とかそんな感じだったかも。この広さは映画では残念ながら表現されていませんでしたね)をテレポートする時にお金がかかります。敵役となるIOI社は、オアシスの運営権を奪い取り、テレポーテーション料以外でも広告やルートボックス(ガチャ要素)なんかで、利益をあげようとしているのです。

先に書いたとおり、オアシス=インターネットなので、インターネットの中立性や透明性の歴史を念頭に置くと、劇中であれだけの人たちがIOIに立ち向かった理由が分かると思います。胸アツ。

いろいろなSFモノ、VRモノを見てきましたが、この設定が一番クールで、もしかしたら未来はそうなるかも? と僕には予感させました。

 

最初からぜんぜん違う

3つの謎を解き明かし、3つの鍵を手入れたものが勝者、という大まかなあらすじは同じですが、謎の内容が全然違いますし、小説では鍵を手に入れ、扉の場所を見つけるという2段階の謎になっており、これを完全に再現しようとしたら、尺が全然たらないので、上手い改変だったと思います。原作は、謎の内容も絵面は地味で、よりマニアックになります。

 

ホリデーとモローの半生、確執なんかは小説の方がより詳しいです。この部分は是非読んでもらいたい。ホリデーがどんなに「おまいら」か、確かめて欲しい。

 

「ハイ5」の中では、エイチとダイトウがかなり違います。エイチについては、あんなにオチャメなキャラになるとは……(笑)。映画版は映画版でいいんですが、小説版は謎めいた知的イケメンキャラで、だからこそ正体が劇的なんですよね。

ダイトウについては、かなり衝撃的かも。

 

小説には登場しない、ハナ・ジョン=カーメン、アイロックもかなり良い。

 

愛すべきシクサーズ! そしてソレント

敵となるIOI社のシクサーズ、それを総括するソレントの残忍さと間抜けさは、この映画にオマージュとして散りばめられた映画の敵たちにそっくりです。

小説版も映画版もツッコミどころ満載なソレントですが(僕だったら、「我らこそシクサーズ」みたいな馬鹿なコスプレさせずに、ガンターにスパイとして紛れ込ませるな)、最後、エイチのバンを追い詰め、ウェイドに銃を突きつけるシーンが素晴らしかったです。

あの時、ソレントは引き金を引かず、コンテストの勝者となったウェイドに微笑みを浮かべます。

僕の考えでは、歪んだ目的でエッグを求めたソレントですが、彼なりに真剣にコンテストに挑んでいたからこそ、このゲームの困難さを理解していた。そんなゲームの勝者であるウェイドに、悔しさとともに、称賛をしたんだと思うんです。それがあの微笑みなんじゃないかな。

 

残念だった点(原作ネタバレ含む)

やはり日本人として、ウルトラマンは出て来て欲しかったし、エヴァンゲリオンもレオパルドンにも出て欲しかったです。ディズニーは、昔から自社IPの扱いは厳しいけど、円谷プロダクションは経営も厳しそうだし、チャンスだったと思うんだけどなぁ。代役となったガンダムは結構いい感じでしたね。でも、翻訳した人は絶対ガンダム知らないと思う。「俺はガンダムで行く!」じゃなくて、ここは「ガンダム行きまーす!」じゃねーの? 追記:字幕版もこのセリフらしいですね! 

 

ウェイド/パーシバルとサマンサ/アルテミスのロマンスも、ちょっと簡略化されていて、中盤の流れが原作読んでないと慌ただしかった気がします。もっとこっぴどく振られて、どん底状態になるんですよ。それこそ現実を捨てるくらいに。

 

ダイトウとショウトウ(映画ではショウ)以外は、かなり後半まで一匹狼で、共闘と出し抜きが目まぐるしく、その点も原作に軍配が上がるかな。

 

lOI社侵入ミッションは、もっとギリギリの緊迫感のあるエピソードとなっていて、断然原作版の方が面白い。

また、ハリデーのコンテストの勝敗自体も、後半はIOI社側が卑怯な手を使って先行するので、緊迫感があります。映画では代わりに現実世界の方で、実行部隊のハナが追い詰めますけど、原作の方がハラハラしたかな。

映画の最後の契約書のサインのヒッカケを考えると、IOI社がオアシスの運営権を手に入れられるとはちょっと思えませんし。

 

最後にこれは言ってもしょうがない点なんですが、小説版も映画版もゲーマーのお馬鹿さとイタズラ心を軽視しすぎだよな、と思います。映画の第一の謎なんて、下手をすると初見プレイで攻略する偏屈なプレイヤーがいてもおかしくありませんよね。そんなツッコミを入れる楽しみもあります。

 

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最後に4DXの感想

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初めて体験しましたが、超クソでした。お金返して欲しい。もう二度と選ばない。

設定・演出した奴のセンスが皆無。座席ティルト、振動、フラッシュ、煙幕を使用しすぎです。まるで子供が与えられたオモチャを嬉々として遊ぶように、観客の気持ちを何一つ考えていません。カメラの動きを追従して傾く座席は酔いを誘発、フラッシュはスクリーン以外の部分を浮き彫りにして、没入感から目を覚ます。足音一つ、スイッチなど細かすぎる振動まで再現して、ただただ邪魔なだけ。

初期の3D映画もかなり酷い出来でしたが、4DXは登場からどれだけ経った? もっと「ここぞ」と言う時にだけ(カーチェイスシーンとか、ホラーシーンとか)、これらのギミックを使ったらいいのに。料金高い上にこんな酷い出来なら、よっぽどの酔狂しか利用しないと思う。事実、空席が目立った。

 

(ブログ一ヶ月連続更新チャレンジ23日目)

 

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