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君の名は。の感想は。

 

君の名は。

君の名は。

 

新年あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします!

 

間が空いてしまいましたが、私は元気です。

ブログ更新の慣らし運転という感じで、1月3日に地上波初放映された新海誠監督による「君の名は。」の感想を書きたいと思います。

新海誠監督作品は、「言の葉の庭」を見たっきりです(言の葉の庭も良かったです)。

 

ネタバレ有りなので、ご注意ください。

 

 

天邪鬼かまして劇場を見に行かなかった自分が、バッカじゃねーの、と思うくらい、良い作品でした。背景が綺麗な映画なので、劇場の方が良かったのではないか、と思ってます。

 

この作品の良さは良い意味で「物足りない」のが良いのだと僕は思いました。

自分だったらこう言うストーリー展開にするのにとか、どうしてこの部分をもっと深く描いてくれないんだろうとか、普通は作品として欠点となる部分が、この映画においてはプラスに働いています。

 

このお話は、とある男の子と女の子の身体と中身が入れ替わる、という古典的なネタを使ったラブストーリーです。演出が上手いだけで、シナリオ展開としては原稿用紙1枚で収まる気がします(そこが美しいんですけど)。

 

おそらくほとんどの恋愛というのは、ごくごく狭い中で関係は結ばれ、奇跡や運命めいたものはあんまり無いのかもしれません。この映画の二人も表面上はそんな普通のカップルです。でもそうではない事は、鑑賞者だけが知っています。この部分がミソです。中高生に受けたのは、劇中の主人公・ヒロインを自分に置き換えて色々妄想できたからなのでは。

 

なので、別の終わり方もあったと思います。二人が記憶を保ったまま、心を通わせたシーンは、あの山の上の黄昏時だけで、あとは完全に記憶を失った状態、という展開です。先輩という素敵な女性から好意を持たれながら、どうして振ってしまったのだろう? と釈然としないまま、日常を過ごし、瀧と三葉は何度も東京ですれ違う。本当に偶然、運命めいたものを感じないまま、二人は出会って交際する。

そして、妹なんかの口から「お姉ちゃんとあの彼氏、どうしてあんなに仲が良いんだろうね〜」って感じで語られると、鑑賞者は「俺は知ってるぞ!」ってなって良かったと思うんだけど……。たぶん、タイトルどおりに「君の名前は?」のセリフで終わらせたかったんでしょうけど。

 

物足りない部分は、ラストの彼らのその後だけでなく、どうして二人は惹かれ合ったんだろう? という事です。正直、あんまりわからなかった。先輩の方が魅力的に思えてしまったのは趣味の問題? 

入れ替わってしまったので、瀧と三葉はお互いを直接は知らない。入れ替わった後に、友人知人から知らされるか、日記の中でしか。それって本当の自分ではなく、言うなれば、俳優女優が共演したドラマの役に恋しちゃったに近いように思う。山の上のシーンで確信に変わったのだと思うけど、その前から「お前らもう付き合えよ」状態だったし、もう少し瀧が先輩とは合わない、三葉と合うという部分が描けてあると良かったように思いました。二人が恋するのは、シナリオでそう書いてるし、って感じに個人的には思えたのです。

 

最初に書いたとおり、こんな不満も、もっとこの映画を見ていたい、という欲求なんですけど。

 

この話の矛盾点・分からないところが、個人的にはいくつかありましたが、記憶が薄れていく曖昧な状態であるということで、解消されると思います。鑑賞者は、映画としてはっきりと描かれるので、登場人物の内情があんまりわからないって部分が、もう少し演出でカバー出来ていたら良かったかもしれません。日付に気づかないのも、あの描き方だとちょっと不自然ですが、記憶が曖昧になってしまうという設定が念頭にあれば、なんとか……でも携帯に残ってるな。うーん。

ちょっとしたアイディアなんだけれど、三葉は宗教上の理由で携帯電話など電子機器が禁止されてるというのはどうでしょうか。

 

中身が入れ替わったら、あんな風に相手の日常にフィットしようとしないとか、なんか違和感ありましたよね。心が入れ替わっても、肉体の記憶みたいのがあって、学校にいけたり、バイトも初日からなんとかできたりするんだろうと、考えています。

ただ一点、三葉の魂が死ぬ前ではなく、死んだ後の状態から時間を逆行してループ状態になるのは、話をわかりやすくするためなんでしょうね。それとも色々な解釈を生むためなのかな……。とか考えてしまって、いい映画でした。

 

ハリウッド・リメイク版が楽しみ。

民俗学的な部分をどうするのか? 相手はネイティブ・アメリカンかな〜。日付の時差問題も、相手が未開の地だったら、カレンダーがないとかで大丈夫そう。隕石衝突シーンは結構深く描かれそう。ロマンス部分も、ずっとオープンでわかりやすく上手く描いてくれそうな予感がします。案外、良いんじゃないかなって期待してます。