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比良山系(武奈ヶ岳)登山(敗退)・2日目

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比良山地の最高峰、武奈ヶ岳へ登頂すべく、2日間のハイキングを敢行しました。

今回は、2日目の記録です。

 

◯深夜

タープを叩く雨音に、何度も起こされます。HMGのスタッフサックピローの中に、耳栓を入れていた様な気がしますが、探すのがめんどくさくてしませんでした。というか、スタッフサックピローは、滑って使いにくい。かっぱとして使っていたゴアテックスのハードシェルを畳んで枕代わりにしていました。

 

何度か、夢と現の狭間にいると、タープが顔に近いような気がします。ペグを交換したのに、やっぱりたわんでしまうのか、と思っていたら、タープのテクスチャが何だかマダラになっています。嫌な気がして触ってみると、ミゾレになっていました。やがて、ミゾレは雪に変わりました。

 

それを知って、明日は武奈ヶ岳に登らずに、このままテン場で太陽が昇って、ゆっくり気温が上がるのを待って下山しようと決めました。雪道を歩くには、特に足元が心もとないのです。というのも、ビブラムのファイブフィンガーズは、甲の部分が全面メッシュで防水性は皆無です。今回も靴下が完全に濡れてしまって、寝袋の中に入れても冷たく、上に冬用のソックスを履いて体温で乾かそうと思いましたが、朝になっても乾きませんでした。

 

替えの5本指ソックスを用意するか、防水の5本指ソックスを用意するかすれば、万全だったと思います。あと、僕が登山するシーズンを考えると、ダウンパンツはいりませんが、ダウンブーティがあると良いと思いました。末端冷え性なので、手は脇に挟めばいいんですが、足はどうにもなりません。

 

◯朝

雨と違い、雪の降る夜は静かです。

タープの上をサラサラと雪が滑っていく音を聞きながら、起きたり眠ったりを繰り返しました。

タープに積もった雪を何度か払っていると、夜が明けました。

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寝袋から這い出し、そんなに寒くないことがわかると、外に出て回りの状況を把握します。

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見事に銀世界。

ヤバイな〜と言う気持ちと、なんとかなるさ、という楽天的な気持ち。

危機感が足りないのかもしれません。

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タープの雪を払って、ガイラインのテンションを絞ります。

 

◯朝ご飯

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クノールのカップスープにガーリック味のフランスパン小を2つ、浸しながら食べました。カップスープは、ジンジャーとポテトポタージュとほうれん草とポテトポタージュをブレンドしました。間違って違う種類を持ってきたのですが、普通に美味しかったです。フランスパンは、オイリーで2つ食べると胸焼けしました。

 

◯撤収作業

気温が上がるのを、寝袋の中でゴロゴロして待っていると、不意に吹雪のようになって真っ白になりました。

これはマズイかも! と焦りがくすぶりだします。ちょっと焦るのが遅かったかも?

食料は残っているし、午後から下山を考えていましたが、このままの勢いで雪が振り続けると、冠雪しているのは、山頂付近の短い区間とは言え、道も分かりにくくなるだろうし、僕のスキルでは手に負えなくなるかも知れないと思いました。

ただし、慌てた状態では、別のトラブルを招くかも知れない、と心を落ち着かせました。

 

タープの中で撤収作業を手早くします。

何度かパッキングして、自分なりのやり方を見つけました。ラフバーシのハックパックは、1泊程度では容量を持て余しがちですが、ビビィに寝袋を入れた状態でざっくりと畳み、ダウンジャケットと共にドライサックに入れます。それだけでザックの半分くらいの容量を占有しますが、コンプレッションされてダウンが痛むのを和らげることができますし、個別のスタッフサックが不要になるので、十数グラムは軽量化できます。また、背負い心地もいいように思います。

 

ドライサックをしっかりと閉じて、その上に食器や、全く使わなかった携帯ゲーム機や文庫本、鍋と火器などを仕舞います。タープの水気を飛ばしてスタッフサックに入れて仕舞いました。

 

飲み干した炭酸飲料のペットボトルに水を注ぎ、残りの水500ミリリットル程をザックに納め、準備完了。

 

◯下山

幸いなことに、吹雪はおさまっていました。

まだ濡れている靴に足を入れます。積雪は5センチから10センチ程。5本指靴の足跡が雪男のよう。少しは心に余裕が出来たみたいです。

 

広い昔のゲレンデ跡は、水の流れで細かな渓谷のようになっています。濡れた靴の中の指先は、すぐにかじかんでしまっていて、先を急ぐ気持ちが出てきます。多分、カラ岳の先の分岐点の所で雪はマシになるはずです。

 

先を進むと、昨日の一張のテントが、まだ幕営されていました。入り口の隙間から携帯ソーラーパネルが露出していました。ただの一言も言葉を交わしませんでしたし、僕の存在自体、彼らは知らないのかも知れませんが、僕にとっては、心強い仲間でした。

 

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雪道を歩いていると、どんどん思考が内省的になっていくのを自覚します。景色が雪とそれ以外の2値化されたことで起こるのではないか、とそんな事を考えながら歩いていました。例えば、足の踏場一つとっても、岩の上か、木の根の上か、落ち葉の上か、と些末な事を無意識の内に考えていますが、雪の上では何も考えずに歩いていけます。こういう感覚がスノーハイクの醍醐味なのかも、と思いました。

 

歩いていると、血の巡りも良くなったのか、足先のかじかみは無くなりました。ガレ道以外の山道なら、ファイブフィンガーズで何とかなりそうです。

 

◯手袋

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前回の反省から、今回は手袋を導入しました。エクストリーミィーズのウィンディGLOグローブというグローブで、製造はトレラン用品メーカーのテラノバのようです。

TERRA NOVA(テラノバ) ウインディGLOグローブ M 21WG

TERRA NOVA(テラノバ) ウインディGLOグローブ M 21WG

 

もっと軽量なウルトラファブリック(キューベンファイバー)を使ったモデルもありましたが、手の甲の保護と防寒を考えて、ゴアウインドストッパーを使ったこのモデルにしました。

TERRA NOVA(テラノバ) ウルトラGLOグローブ M 21UG

TERRA NOVA(テラノバ) ウルトラGLOグローブ M 21UG

 

 使ってみて、正解でした。ペラペラですが、十分温かい。ただし、カフの部分は伸縮しないので、脱着は面倒です。

ペラペラなので、タッチパネル対応は謳ってないものの、反応します。

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 充電のため、一度フロッグマンのセイフティシールを剥がして、表面に貼ったらめくれなくなってしまった図。

 

◯工事現場

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アンテナ塔を越えます。

予想どおり、カラ岳から釈迦岳の巻き道のところで積雪がマシになりました。

しばらく進むと、5人くらいの集団。登山者ではなく、下に作業着を着てられるので、アンテナ塔の工事の関係者のようです。

少し言葉を交わし、実は、駐車場に車が一晩泊まっていたので心配してた、と言われました。毎日、上まで登って工事とは、大変ですね、と言って別れました。

 

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リフト跡地まで降りると雪も無くなりました。さっきまでの道のりが夢のようで、なんだか不思議な心地がしました。もしかしたら、僕はまだ、さっきの雪のテント場にいて、現実逃避しているんじゃないか・・・。

 

◯歓喜

深い針葉樹の切れ間から、陽の光が差します。

あたりは霧に包まれています。

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 何だか、わああああっっと嬉しさが込み上げてきました。

よくわからないけど、来てよかった、と思いました。結果的には敗退なんですけど。

 

そのまま、無事下山しました。

登山口のところで、天気を見て登ろうかのぼるまいかと悩んでいる若いカップルがおられました。上の状況を伝え、止めておいた方がいいかも、と言うと二人は登るのをやめたみたいでした。

 

再び、比良とぴあでお風呂に入ります。そうそう、実は昨日、ここに傘を忘れていたのです。高価い傘だったので、焦りましたが、フロントで預かっていておいてくれました。

 

車で帰宅の途中、白ひげ神社の手前くらいで、青空が広がっていました。もしかしたら、普通に登れたかもしれないと、登山を止めた登山者のカップルに悪いことしたかも、と思いました。リスクはモチロンあるけれど、悪天候の中の登山も、得難い面白さがありました。

 

お昼を過ぎたので、山の中では精進料理のような食事だったので、獣の肉が食いたいと思い、デカイハンバーグを食べました。美味しかったです。

 

でも、久しぶりに静岡にある、ファミレスの”さわやか”のゲンコツハンバーグが食いたい。

 

 ◯2014年、再挑戦しました