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風立ちぬの感想【ネタバレ有り】

スタジオ・ジブリ制作、長編映画としては宮崎駿監督作として最後となった風立ちぬを見ました。

宮崎駿監督作としては、子ども向けの娯楽作品としてではなく、自分の作りたいものとして作ったと言われる、紅の豚が一番好きなので、ちょっと期待しておりました。評価として賛否両論ありますが、僕は、正直最高傑作なんじゃないかと思っています。

 

以下、ネタバレ有りの感想です。

 

◯きちんとエンターテイメントしている

映画を見終わったあと、ウィキペディアを見ましたが、モデルとなった人物は実在の人物なのですが、その人物像、エピソードは事実もあるけれど、虚構も含まれているそうです。病に侵され、悲運のうちに亡くなってしまう恋人は完全な創作です。なぜ実際の人物をモデルにしてフィクションを描いたのかというと、もともとは、戦争反対の立場にいながら、戦争に使われるゼロ戦などの戦闘機が好きな宮崎駿さん本人の矛盾と向き合う為の内省的な映画だからだと思います。それでありながら、戦争という、一般受けしなさそうな内容だけでなく、悲恋を絡ませて一般受けしそうな要素をうまく取り込んでいると思いました。長編映画といては、これが最後だそうですが、宮崎駿さんは、これからどんな題材をテーマにしようが、自分が作りたいものを楽しく作ったとしても、高い評価を受けるべくして受ける資質を元々から持っているのではないか、と思ってしまいました。完成試写会の時に自分の作品で涙流す、ってよっぽどだと思います。編集しているうちに客観性失って、果たして面白いのか、どうかわからなくなる人が、ほとんどだと思う。

 

◯アニメ映画の題材として相応しい

かつて、大ゴケしたファイナルファンタジーと言う巨額の制作費を投じたフルCG映画がありました。できたフィルムを見て、プロデューサーだったかの感想は、「こんなにお金かけて、アニメでやる意味あるの?」でした。風立ちぬも、”実在の人物をモデルにした”と聞いて、心配だったのは、その点でしたが、完全に杞憂でした。

なんといっても、アニメと夢のシーンの融和性は高い。実写なら、”玉ヒュン”の夢のシーンでも、「コレは夢だから」と安心して見る事ができます。

 

 

◯目新しさはない

新しい、画期的な演出というのは、無かったように思います。過去作のどこかで見たカット、演出・・・。まあ、安心して見る事ができると言えます。ザ・スタジオ・ジブリ。ドキュメンタリー調の作風にもあっていたように思います。今までの集大成とも取れます。

昔のカトゥーンアニメーションの引用などもあり、わかってやっているのかもしれません。

 

◯声優について

プロの声優による作り過ぎた声を嫌って、スタジオ・ジブリでは、俳優をメインに声を当てることが多いようです。今回は、俳優ではなく、演技については、未知数(自主制作の映画で演じていたそうですが)の庵野秀明さんが、主人公を演じています。庵野秀明さんと言えば、新世紀エヴァンゲリオンの監督等で有名ですが、そう言うこと知らずに映画が見たかったです。先入観無しなら、あの朴訥とした声はすごく合っていたと思います。

ホリエモンさんの発言は、正直、真剣に仕事をする人に対してクズな物言だったと思いますが、実際のところ、どうなんでしょう。ゲームのパッケージの裏に、”豪華声優陣による・・・”とか書いてると、内容で勝負しようや、とゲンナリします。金が絡むとロクなことがない。要は、演技している人の回りの人間の問題なのでしょう。話題性だけの配役とか。

 

◯まとめ

終わりの尻切れトンボ感が否めませんが、いい映画だったと思います。今までの映画だって、この後どうなるんだろう、という余韻がありましたしね。自己の矛盾との決着は今だついてない、夢を理由に犠牲や嘘が多すぎる、けれど生きていくのだ、と言う映画でした。