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ソフビ雑記7 - ソフビは現代の浮世絵である説

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ソフビそのものについて、僕の独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。結構前に下書きした記事なんですが、暑すぎて書いている記事の途中で集中力が切れてしまったので、こちらを思い出して急遽仕上げました。ワンフェスでゲットしたやつもレビューしたいんだけど。

 

ゴールデンウィークに、すみだ北斎美術館に訪れたのですが、浮世絵の作り方ってソフビと似てるなぁって思いました。

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類似点1:アート作品ではない

1つ目の類似点は、どちらも高尚なアート作品ではなく、一般大衆の嗜好品であったことです。

ソフビがアートかそうでないかは、結論まで至っていないトピックですが。

 

浮世絵は今でこそ立派なアートとして持て囃されていますが、当時は現在のレートで数百円程度で購入できました。新聞や漫画に似た感覚で購入されていました。

価値が高騰したのは、海外の好事家が集めだしたからで、浮世絵が海外に知れ渡ったのも、陶磁器の緩衝材として北斎漫画が使われていたことから。当時の日本人は浮世絵にそれほどの価値を見出していなかったんですね。

 

ソフビも、もともとは子供用の玩具でした。現在では海外からも、高い価値が見出され高騰している状況も浮世絵と似ています。

 

類似点2:複製が可能

木版画である浮世絵は、肉筆画のように一点物ではなく、数百から数千枚摺ることができます。ソフビも同じく、金型から通常は最大で1000回ほど複製できます(ウィキペディアによる)。複製可能回数は木版の浮世絵の方が多いんですね。ソフビは熱せられるからかな。

 

類似点3:初摺(第一期)が価値・人気が高い

浮世絵では、摺師という木版から和紙に摺る工程を担当する職人が一日に擦れる量が二百枚と言われています。この二百枚を初摺と呼ばれていて、この二百枚は木版が痛んでいませんし、絵師の指示がきちんと反映されています。以降の後摺に関しては、摺師の采配に委ねられるならわしがあるそうで、色味が初刷と若干違ったり、急ぎの場合は版を減らして簡易版にしたりしたそうです。そのため、初摺が一番価値が高い。

 

一方ソフビはと言うと、もちろん金型も劣化していくのですが、ソフビについては劣化はあまり加味されていないような気がします。それよりも、1期がもっともスタンダードなカラーであり、塗装工程も後期よりも凝っている場合があります。もちろん、後期のカラーが人気になる場合もありますが、それでも1期が特別なのは、浮世絵からの習慣があるからではないでしょうか。

 

類似点4:分業制であり、関わった職人のほとんどが名前を知られていない

葛飾北斎の浮世絵は誰の作品か? もちろん葛飾北斎なんですけど、浮世絵ができるまで沢山の職人が関わります。

元絵を描く絵師(葛飾北斎はここ)、元絵を元に木版を彫る彫師、摺師。

北斎は、彫師も摺師もめちゃくちゃこだわっていて、絵の題材によって職人を指定していたそうです。だから、職人の名前も出てくるんですが、他の浮世絵師の場合は、職人が誰なのか全然出てきません。

 

ソフビも同じく、いくつもの工程があります。

我々が誰々の作品だ、と言っているものでも、デザインをしたのち、原型師に発注し、蝋型にして、金型をつくり、焼いて抜いて、塗装して、完成させる。たくさんの職人が関わっていますが、その多くの人の名前はわかりません。それらは外注の場合があります。場合によっちゃ出資しただけでデザインも外注というのもありえます。僕たちが作家さんと認識している人の中には、どちらかというと、総合プロデューサーに近い人も居るかもしれませんね。

 

コレクターの間では、この作品とこの作品は原型師が同じだ、とかウワサしあって、推測します。これが結構楽しい時間なんです。プロモーションの意図があってか、原型師が明らかにされる場合もありますが、個人的には秘密のままの方が謎めいていて面白いですね。この塗装は工場発注ではないのだろうか? とかね。逆に全部内製の場合は、言って欲しいです。

 

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