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書評:ピクセル百景-ドット絵好きなら買って損はなし!

僕はドット絵が好きです。ゲームを抜きにしても好きなんだと想います。ピクセルで構成されているドット絵は、ミニマリスティックだし、誰がうっても同じ絵を生成することができるというのも、ポップアート的です。

ピクセル百景は、現代の芸術表現としてのドット絵を知ることができる本です。専門書なので、少し値段はお高いですが、この本があれば、ドット絵が今、どれほど進化したのか理解できますし、見ているだけでも楽しい。

ドット絵というのは、昔はイコール、ゲームのグラフィックでしたが、現在ではそんなことはなく、いろいろな場所に使われています。それでも、ドット絵が紙に静止した状態で印刷されていることに、もしかしたら、がっかりしてしまうんじゃないかと思いましたが、これは杞憂でした。

普通、こういったビジュアルをメインとした本は、あんまり絵を小さくカット割りしてほしくないんですが、ことドット絵の場合は、小さくなっていても凝縮感が出て良いんですよね。普通の絵の本のようにキャンパスのサイズ、画材である色数が併記されています。16×16なんて、めっちゃシビれるじゃないですか! このブログを構成している一文字ですらもっと大きいサイズじゃないかな?

本の中には沢山のドッター、アーティストの作品が収録されています。そのどれもが、現実の絵画のように個性的で、それぞれの持ち味が生かされています。ゲームに慣れ親しんだ人間だったら、どのゲームからインスパイアされているのか、なんとなくわかるはず。そういうふうに鑑賞できることが良いです。まったくの門外漢だと何も語れないじゃないですか。例えば音楽だったら、この展開はクラシックをきちんと学んでる作曲家だからから……とか言えず、いい曲だね、で終わっちゃう。

 

 

ビジュアルを見るつもりで購入したんですが、読み物も充実していました。

インタビュー、エッセイ、コラムが入っているのですが、中に知ってる名前が……ゲーム報道メディアのIGN JAPANの副編集長の今井普さん! ところで、この本のことを喋りすぎゲーマーで宣伝してましたっけ? 

shinimai.hatenablog.com

このエッセイでは、ゲームにおけるピクセル表現を4つに分類しています。昔のゲームビジュアルをそのまま再現したノスタルジー、その正当進化したマニエリスム、高度な技術を使わずに新しい表現を模索するローファイ、高度な技術で今まで見たこともないような表現を目指したアヴァンギャルドという4つです。

正直、これだけに納まるんかな? このタイトルをここに入れるのは変じゃないかな? と思うところはあります(御本人も認識しています)が、この図を見て自分のドット絵に関するモヤモヤが消えました。僕のドット絵の嗜好としては、ノスタルジーなものは好みから外れているんです。

僕はぜんぜんドット絵を古いとは思ってないんです。レトロだからとか懐かしいという気持ちで好きではない。ビデオゲームは、3D表現が主流になって、そっちのほうの歴史のほうが長くなってしまった、と言われますけど、2Dはちょっと目立たなくなったけれど、その裏で練度に磨きをかけてきたと思っています。

ビデオゲームがアナログゲームの進化といっても、将棋やチェスが時代遅れと廃れた訳ではなく、むしろ実際対面してのコミニュケーションがとれることが魅力として、アナログゲームがブームになっています。同じようにドット絵も過去のモノではなく、今もまだ進化していっている。

 

ドット絵がいろいろなところで見られるようになったと言っても、やっぱりゲームのビジュアルとしてのドット絵が一番好きですね。最後のピクセルプレイグラインドの章が一番良かったです。あと、

TOKYO PiXEL.なんて店知らなかった。次、東京に旅行したとき行こう。

 

ピクセル百景 現代ピクセルアートの世界

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  • 作者: グラフィック社編集部
  • 出版社/メーカー: グラフィック社
  • 発売日: 2019/06/10
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