smogbom

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映画 東京喰種 - 30分でギブアップ

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日本でコミック原作の実写映画というと、製作委員会のお金集め用で、なかなか出来の良い映画というの少ない。

今回見た(途中で見れなくなった)東京喰種は、たぶんすごく頑張っている。原作コミックに忠実と言えると思う(コミックはreじゃない方は読んだ)。

しかし、グロテスクすぎてキツかった。僕は自分が思っていた以上に、カニバリズムに嫌悪感を抱くらしい。ヒロインの霧嶋 董香役の女優が、芸能界引退して出家したと聞いていたけれど、ちょっとありえるかもなぁ、と思ってしまった。

 東京喰種の設定は、はっきり言って超絶頭が悪い。

人類と人類そっくりだが人類を食料とするグールとの種族間の戦いを描いているようで……実はぬるーく共存している。仲良しこよし。

現実世界に、グールなどが存在したとしたら、人類はもっと容赦ないだろう。

思い返してほしい、デング熱とかいうウイルスが流行したときのパニックと容赦ない対応。通常人間に感染することは稀な鳥ウイルスが一羽見つかったとき、我々はどうしたか?

東京喰種では、信じられないことに、グールと人間が同じ街、同じ学校で当たり前に暮らしている。まったくもって馬鹿らしい。なんて間抜けで優しい世界。

人類にとって仇敵のグールに対して、政府の対策は人間の個別部隊で地道な捜査をする。滑稽なのは、彼らが賢いふりをすることである。分数の割り算もできない僕より頭が悪いので、すごく冷める……。

一人の人間が突然消えてしまうというのは、僕らが思っているよりもずっと衝撃が強い。多少の知能があるなら、グールもキチンとした地位のある人間は狙わないはずだ。失踪しても変と思わない人間を狙うはずだ(劇中では自殺者を食料にしていたが)。でもこの世界のグールは馬鹿なので、関係なく人を襲う。

物語の最低限のリアリティを満たしておらず、グールになっちゃった俺可愛そう……という状況を満たすためだけに練られた欠陥だらけの設定である。

 

……が、しかし。

ここまで馬鹿な設定もないので、グールとはなにか別のものを暗喩しているのではないか? と思った。つまり、社会に普通に溶け込むことができるが、いわれない差別や攻撃を受けるものたちである。

たとえば、貧困層や在日外国人、LGBT、母子家庭、前科者、犯罪加害者の家族など。

主人公の金木は、母親が死んで孤児となる。きっとそのせいで、くだらない差別やいじめなどの被害を受けたはずだ。金木という名字もあえて、なんだと思う。

グールたちは、身元を隠すためにマスクを被る。本当の自分を隠し、社会に馴染むために、そういう行動をしている人間は多いはずだ。

 

こういうメッセージ性を僕は感じたんだけど、たぶん出家した女優もまわりのスタッフも、そこまで考えがおよんでいないはずだ。東京喰種がウケた理由もそこじゃないだろうし、別に良いんだけど。

同じテーマを感じる漫画としてはBEASTARSのほうがクールだよな。

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)

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