大阪からこんばんは。
今日の記事は、半分を朝に大阪に向かう電車の中で、半分を昼間にアメコミに詳しい方の感想を聞いてから、夜の道頓堀のネットカフェで書いています。
ヴェノムはお好きですか。
スパイダーマンに登場するヴィラン(悪役)でありながら、主役の人気を圧倒してしまうほど、強いカリスマを持つキャラクターです。
そんなヴェノムの単独映画が、スパイダーマン版権を持つSONY配給で、公開されました!
日本のポスターデザイン(トップの画像)はヴェノムのキャラクター性を捉えているとして、世界各国で賞賛されました。しかし、映画そのものの評価は……?
以下、ネタバレありの感想となります。
ヴェノムはかくあるべきと固定観念が強いと、この映画の評価は低くなるかも知れません。逆に、マーベルの新しいヒーローモノとして、先入観なく鑑賞したのなら、普通に楽しめるかも知れません。
この映画は、ヴェノムの姿と設定を借りた、別のヒーローモノと感じました。
どうも、プロデューサーが作りたかった物語は、ピカレスク(悪漢)映画ではなく、普通の善良なヒーローモノだったようです。ドラゴンボールで例えるとベジータ枠で、普通にアヴェンジャー入りしそう。
変だな? と思うのは、日本のポスターです。映画の内容を見て作ったとは思えません。内容なんて無視して、ファンが期待するヴェノム像をデザインしたようです。ヴェノムファンは騙されたでしょう。広告代理店が一枚上手だったと、評価すべきでしょうか?
悪のカリスマヴェノムと、監督かプロデューサーが描きたかった善良なヒーロー像との軋轢が、この映画の構成を無茶苦茶にしています。
前半、ヴェノムが寄生するまで間延びした感があり、地球を滅ぼそうとしていたヴェノムがデレるまでの、エディーとの心の交流の描写がなく、フィナーレは味気なくさせています。
信頼していた恋人を裏切ってまで、情報を奪った主人公と、地球資源を奪うばかりの人間を重ね合わせることがやりたかったんでしょうが、もっとスタイリッシュに表現できなかったものなのか。エディーの詰めの甘さが酷い。本当に報道のプロなのか? 恋人を裏切るクズなら、情報源をどうして隠すのか。悪人に徹しきれてない感じがカッコ悪かったです。
エディーもヴェノムも似た者同士の負け犬と言いますが、これがダサい。ヴェノムは悪人ですが、美学があって、カッコよくあって欲しかった。毒(ヴェノム)をもって毒(クズの悪人)を征する。そんな映画を期待していました。
悪役も微妙でした。地球から脱出して、宇宙に適応するため、シンビオート(ヴェノムのような菌糸状のエイリアン)と融合する人類をつくるのが目的。絵に書いたような独裁者で、言葉巧みに人心を操る設定なんですが、理不尽極まりなく、なんで人がついてくるのかわからなかった。肝心なところで抜けてるのは主人公と似た者同士か。シャトルから先に逃げ出したシンビオートが、戻ってきて、悪役と合流するタイミングも、違和感のない上手いシナリオに思えませんでした。
アメコミに詳しい友人から、シンビオートという種族は寄生主の人格や意思によって、大きく性質を変化させると聞きました。そのため、ヴェノムはどこかエディーに似た優柔不断さと優しさがめばえて、敵役には自己の進化を促すためにロケットを飛ばして、また地球に戻ろうとしたのではないか、という解釈をしてもらいました。
映画の頭から、妙にカッコ悪い映画でした。編集のスタイルが古臭いんです。最初の導入シーンはB級のパニック映画、タイトル画面、ウゲーッ、カッコ悪い! 吹替版は日本語だから? スタッフロールはカッコイイのに。
戦闘シーンは、予算不足が見え隠れしますが、なかなか良かったです。バイクチェイスシーンは、二心同体の設定を活かしたものになっています。
ヴェノムの映画としては、「コレジャナイ感」が満載の映画でした。すぐにリブートしたほうが懸命かと思われます。ヴェノムのキャラクターデザインはカッコイイ。絶対にウケる!
酷評するほどひどくはないですが、もっと上手いやり方があったような気がしてなりません。
吹替は、ヴェノムの声が加工され過ぎで、非常に聞き取り難かったので、コダワリなければ、字幕版のほうが良いかも知れません。
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