予定していた大阪ソフビ万博の戦利品ラストなんですが、関連資料を読む必要があり、ちょっと遅くなりそうです(半分は読んだ)。
最近頭を空っぽにして読んでもいいようなヌルいweb小説ばかり読んでいて(人の文章にケチ付けれるような文を書いてませんけど、文章の中で一人称三人称が入り乱れ、女性の外見描写が髪の毛の色・形と瞳の色、あとおっぱいの大きさだけなのは如何なものか? でも読んじゃうビクンビクン)、読書時間も家ではスカイリムを旅するのに忙しく、仕事の休憩時間だけなので、なかかな読み進めることができず、更新が滞ってるので、今回より3回、本のレビューとなります。
クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」にて出資募集されていた「上山徹郎 [ 電人ファウスト× LAMPO ] 復刻計画 !!」のリターン品である「LAMPO プレミアム版(全2巻 初回生産限定)」のレビューです。
参照:
上山徹郎! 上山徹郎ですよ、奥さん!!
えっ!? ご存じない?!
では、上記のキャンプファイヤーのページより。
1993年、『機動剣士 ガンボーグVZ』で第25回小学館新人コミック大賞児童部門・藤子不二雄賞入選。
今回、復刻する『電人ファウスト』(掲載誌「月刊コロコロコミック」・1994年~95年)で連載デビュー。
その後、代表作『LAMPO-THE HYPERSONIC BOY-』を「月刊コロコロコミック」「別冊コロコロコミックスペシャル」(1996年~99年)にて連載、新人ばなれした高い画力と躍動するアクションシーンで、一躍注目されます。後年、『隻眼獣ミツヨシ』(メディアワークス)を発表、『ミツヨシ完結編』(集英社)として完結しました。寡作ですが、圧倒的な画力、魅力的な世界観やキャラクター造形、迫力あるアクションシーンは、高い評価を集めました。
LAMPOのあと、確かアニメのキャラデザもやっていたような。
上山徹郎さんを語る上で、一番は卓越した画力でしょう。ただ絵が上手いだけではなく、漫画として流れるようなアクションシーンの展開・カット割りが素晴らしいです。また物理エンジン走ってるんじゃないかっていうくらい、重力、物体の動きや肉体の挙動などのリアリティが凄まじいのです。
あと登場するロボットがカッコイイこと。アクションフィギュア化して欲しい!!
また、僕が出資したLAMPOにも言えることですが、掲載誌と内容の乖離が凄いんです。隻眼獣ミツヨシなんて、確か18禁の漫画雑誌で買えなかったですもん(真面目か!)。
僕がLAMPOに出会ったのは高校生の時でした。
当時、週刊少年ジャンプ、サンデー、マガジンに載ってない大判の漫画を集めていました(摩陀羅とか聖痕のジョカとか、CLAMPのCLOVERとか、銃夢とかAKIRAとか)。最初、友人が見つけてくれたんですが、マスラオが表紙の三巻でした。1,2が無かったのですが、我慢できずに三巻を買って、1.2巻を購入したんですが、1巻の5話を見た時に「あれ、これ中学生の時に見たことあるぞ」と思い出しました。絵がべらぼうにうまいので、記憶に残っていたんですね。
そんなLAMPOですが、今回再読して、当時はわからなかったこと、疑問に思っていたことが、理解や推測することができました。
このお話は、夢の永久機関によって全世界の電力供給を牛耳るジェファン神国という、見た目は日本そのまんまな架空の国を舞台としています。
この国は、フガクという神様の信託によって、永久機関や反重力装置、ロボット、人造人間などのオーバーテクノロジーがもたらされます。このテクノロジーによって世界の主導権を握っているんですね。フガクという神様の言葉を聞き入れるのは巫女という女性で、ヒロインは次世代の巫女となるヨシノという少女です。
主人公のランポは、ロボットと共に、神国を守るための兵器として開発されていた人造人間でした。人間の卵細胞を元に遺伝子操作によって特異な能力をもつ強化人間をつくるという研究から誕生しましたが、倫理的問題から研究は中止され、誕生した人造人間は秘密裏に研究者によって持ち出された……と、ここまでを見ると、同じようなストーリーパターンは沢山ありそうですし、当時の僕の感想としても、絵は上手いけど話は並っていう感想でした。
大人になった僕が読むと、また違った感想になります。
自分が思うに、この漫画は「核武装した日本」を隠喩していると思いました。
この漫画では、日本における沖縄問題のようなテーマが描かれますが、ここに登場するエビス区長というキャラクターは、おそらく「小さな挫折」をする前のヤスミ総理と言えます。
ヤスミ総理というキャラクターは、「信託」に紛れて復活のための遺伝子を密かに蓄え、フガク(神)そのものを復活させようとした物語のラスボスで、エビス区長とのやり取りを見ると、一見、本土のジェファン神人優遇(ナチス・ドイツを思わせるような)の差別主義者のように思えますが、その実、巫女の身辺を外国人に任せているなど、当時は疑問に思っていました。彼は世界を支配したいのではなく、政治家として、差別のない平和な国を作りたかったんだと思いました。現実の壁に阻まれて、神様の力に頼るしかなかった。
そうなってくると、フガクを倒して、「あとはもう知らんわ」と離島に引っ込んだランポとヨシノは、ちょっと無責任に感じますが、圧倒的武力で平和を維持しようというのは、やっぱり無理がありますし、そこんところも現実世界を風刺していると言えますね。
一度復活すると無限増殖するフガクに対して、ヨシノは謎の力で倒しますが、フガクは自然そのものであり、恵みにもなれば災いにもなりうるというメッセージなのでしょう。全ては人間次第。神様に頼り切りになるのではなく、自分たちで未来を切り開くって事なんでしょう。
あと、個人的にランポ・ローズ・ヨシノは、白妙媛の胚が使われていると思っています。
今回の特典としてクリアファイルが付きます。
現在の上山徹郎さんの活動を知らなかったのですが、だいぶ絵柄が変わってしまって、個人的に残念ではあるものの、プロとして食べていくためなのかな〜。ローズなんて宝塚っぽかったのが普通に男の娘ですもんね。
一番好きだったシラヌイも、パソコン塗りのせいかのっぺりしてしまって……またゴリゴリのロボ漫画書いてほしいところ。
さて、毎回ナンダカンダで不満があるクラウドファンディングなんですが、今回は素晴らしくスムーズでした。
聞いたところによると、計画が遅れないようにかなり前もって製作に取り掛かっていたそうで、出資サポートが無ければ結構大変な状態だったみたいです(それでも梱包などですこし遅れたようですが)。
最近の活動報告には、上山徹郎さんからなにか発表があるそうで、そちらも楽しみです。
ランポについては、プレミアム版とスタンダード版の価格差はありません(むしろプレミアム版の方が安い?)ので、漫画でハードカバーに不満がなければ、こちらをオススメしますね。
スタンダード版の存在意義は、オンデマンド印刷で1部から刷れるようで、絶版がないそうなんです。電子書籍にしなかったのが、ベテラン編集者としてのこだわりなんでしょうね。
プレミアム版(ハードカバー)
スタンダード版(ペーパーバック)