このブログでも、時々オモチャを撮影するのに台座やポージングの補助材として使用しているネフの積木について今回は書きます。
ネフ社は、もともとは家具職人だった男が、本業である家具作りの合間に作った木の積み木から始まったスイスの会社です。
非常に精度の高い木材加工技術をもっています。値は正直張りますが、一生大事にできるオモチャかと思います。
他の製品も欲しいのですが、やっぱり値段が高すぎて、手が出せません。このモデュロンは、雑貨屋さんではなく、服屋さんの片隅でホコリを被っていたのを見つけて、交渉してみたら、案外安くなってしまったので、購入した次第です。
外箱の底をみると、2002年の9月に作られたもののようです。うろ覚えですが、当時の販売価格は現在の値段よりもずいぶん安かったような記憶があります。一旦、廃盤になったので、再生産される際に価格改定されたのかもしれません。
◯モンドリアンの積み木
この積み木は、モンドリアンとも呼ばれます。モンドリアンとは、オランダの画家であるピエト・モンドリアンの事です。モデュロンは、彼の代表作である直行する黒い線と白、赤、青、黄色の面で構成された一連の「コンポジション」絵画作品を連想させます。
モンドリアンは、バウハウスのマイスター(教師)となるワシリー・カンディンスキーと共に、抽象画を描いた最初期の画家と知られています。
バウハウスとは、ドイツで起こった芸術と工学を再び合一させる試みであり、それを実践する者達の育成をした学校のことです(と自分は理解しています)。時を同じくして、モンドリアンはその他多くの芸術家と共に、雑誌「デ・ステイル」を創刊します。デ・ステイルはオランダ版のバウハウスと呼ぶべき運動であり、それを鑑みると、モデュロンは、バウハウス的ではなく、デ・ステイル的と言った方が相応しいかもしれません。
◯外箱
外箱自体が精度の高い組み木で作られています。木目の残る塗装がされています。
◯取り出す
上蓋をスライドさせて、中の積み木を取り出します。
説明書と製作者の直筆サインの入ったカードと取り出すと、みっちりと木製の積み木が詰まっています。
全部取り出すとこんな感じです。
いい色しています。
◯黄金比
モデュロンとモジュールは、おそらく同じ語源を持っているようです。モジュールとは、工業製品等に用いられる一定の比を持つ尺度のことです。これによって、材料の無駄がなかったり、統一された規格で製品を作ることができ、利用しやすくなります。
モデュロンに用いられる比率とは、黄金比のことで、黄金比とは自然界や人間自身にも現れる比率のことです。この比率は、最も美しい比率とされ、パルテノン神殿なとの建造物や、葛飾北斎の浮世絵のような芸術作品、現代においてもツイッターのアイコンやニュービートルのプロポーションにまで使われています。
黄金比は、分割しても元の比になるという特性を持っています。もっともよく見る製品としてコピー紙にも使われています。紙のAやBというのは、規格が生まれた国のことで、Aがアメリカ、Bがブリテン(イギリス)で、0を最初の寸法として、半分に分割したのを1、さらに半分を2とします。よく見るA4とかB5とはそういう意味なんですね。
ちょっと脱線しました。
モデュロンは、黄金比から導き出された寸法でできているので、積み重ねていくとどこかでキッチリ収まります。
取り出して並べてみると、こんな感じの量の大小様々なサイズの積み木で構成されています。
こうやって見ると、白以外の色が2パーツづつで8、白が8パーツ、合計16という数になっています。
◯手にとって見る
ペンキをただ一回塗っただけでは、この均一な面は出てこないと思います。しっかり下地処理して塗装しているんでしょうが、あんまり塗膜が厚いと、木が呼吸できないでしょうし……きっと凄い技術なんでしょうね。
凄く鮮烈な赤。ソリッドで手触りヨシ。
ネフの積み木に使われている塗料は、子どもがガジったり舐めたりしても無害なモノが使われているそうです。
材質はカエデ(メイプル)材です。とても固く、傷に強い材質のようです。
調べてみたら、木目が美しいので、テーブルなど家具や内装材の他にも、バイオリンなどの楽器にも使われる木材のようです。関係ないかもしれませんが、積み木同士がぶつかると、キン、と小気味良い音がします。
◯遊んでみる
ただ適当に並べただけで、建築物のような感じになります。どこかで高さが合うので、橋のような構造ができます。
建築家などに人気な理由はそこでしょうか。
◯楽しい後片付け
片付けている途中、この小箱の中にミニフィグを入れるとかっこいいことに気付きました。
片付け方もいろいろあって、僕は水平に積層するように片付けていますが、他にも縦に片付ける方法もあり、頭の体操になります。