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smogbom

蒐集/レビュー/散財。アートトイ,ThreeA,ソフビ,民藝。ウルトラライトハイキング。Giant MR4r。Apple,Mac,iPhone。

#読書 ドラゴンライダー4:インヘリタンス 果てなき旅

レビュー 読書

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10年以上の時間を経て、ドラゴンライダーシリーズが完結しました。

インヘリタンス 果てなき旅 上巻 (ドラゴンライダーBOOK4)

インヘリタンス 果てなき旅 上巻 (ドラゴンライダーBOOK4)

インヘリタンス 果てなき旅 下巻 (ドラゴンライダーBOOK4)

インヘリタンス 果てなき旅 下巻 (ドラゴンライダーBOOK4)

完結に際して、思うところがいろいろあり、ゆっくりと読み進めていました。何度も読みなおした1巻と2巻とは違い、3巻は一読しただけだったので読み返したりしていました。

全巻を通しての感想を書いて行きたいと思います。

 

◯装丁

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この本は全巻を通して3回も出版社が変わっているのですが、ソニー・マガジンズが解体し、それを吸収した形のヴィレッジブックスが発刊した3巻までは同じブックデザインなのですが、問題は4巻。今回は、ハリーポッターシリーズを出していることで有名な静山社より出版されています。同じ鈴木成一デザイン室による仕事に関わらず、今までに比べると安い仕事になってしまいました。

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今まで、カバーイラストは表紙いっぱいに描かれ、ウロコの輪郭線を縁取るように、箔押し加工が施されていました。コレが実に幻想的で、本の内容にピッタリでした。本の装丁家で覚えているのは鈴木成一だけ、というくらいその仕事をみるたびに僕は感心してしまいます。

ところが今回。

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一応は、うろこ状のエンボス加工がされています。しかし、このウロコはドラゴンではなく、どう見てもヘビです。もっと、おどろおどろしいシュルーカンが見たかった・・・。カバー裏の世界地図もオミットされてしまいました。

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本文の紙質も前の3巻と比べると、薄く低いグレードの紙に感じられます。値段は1巻と変わらないので、多分、きっと不況が悪いのでしょう。電子書籍には出せない、本の素晴らしい一面なので残念です。

 

◯卒業

僕が大学生だったころ、高校生の僕が、それまでゲーム小説とかファンタジー小説とか呼んででいたものは、ライトノベルと言う呼び方が一般的になりました。少年ジャンプの某死神漫画が、カルピスを数十倍に希薄したような・・・と揶揄されるよりも前に、それらは、そんな感じになってしまいました。最近になって、ロードス島戦記の特に3部、3と4巻を読み返すと膨大に積み重なったテーマに目眩がしました。多分、今のライトノベルの巻数に換算すると20巻分くらいになってしまうのではないでしょうか。それが受け入れられている以上、悪いとはちっとも思わないのですが、一辺倒になりすぎて、当時、日本のハイファンタジーは死んでしまったかのように感じていました。

失ってしまったファンタジー成分を補うため、僕が読みだしたのは海外ファンタジー小説でした。指輪物語ゲド戦記、ハリーポッター、バーティミアスタラ・ダンカンアバラット、ドラゴンの眼、オオトリ伝・・・ちょっと古いもの、有名になったもの、途中で発刊が止まったものもありますが、結構読み込んだ記憶があります。そんな中で、多分一番、僕にハマったのはドラゴンライダーでした。

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特に1巻で、卵から、ドラゴンが孵化し主人公の名前を呼ぶ瞬間。本から聞こえないはずのドラゴンの雛の声を聞いた気がして、身震いしたのを覚えています。その日のうちに、1巻を読みを得ると、そのまま最初のページにとって返し、再び読み始めた本です。1巻を書き終えたとき、作者のクリストファー・パオリーニさんは、15歳くらいで、書き終えた物語を自費出版し、自らの足でアメリカ中の図書館と書店に自分の本をプレゼンして歩いたそうです。そして、たまたま息子が夢中で読んでいたのを有名作家本人が目にし、そこからは全米ベストセラーにまで上り詰めたというサクセスストーリーも胸を打ちます。

 

◯失望の2巻・3巻

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ワクワクして2巻が出るのを待ちました。

そして、思ったよりも面白いと僕は感じませんでした。1巻の異世界を先の見えない道を歩む感じとは違い、乱暴な言い方をすればテンプレ通りの展開に思えました。また、1巻のエラゴン視点=自分の分身という構図から一転して、様々な登場人物に視点が転々とするのも関係して、一気に読むほど集中できませんでした。多分、僕の中にはファンタジーの原型としてロールプレイングゲームが先にあって、そこから外れるような物語の構造はしっくり来ないのだと思います。1巻の勢いのまま、行ってくれれば最高でした。

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でも、この巻で作者の筆力は、かなり上昇したと思います。物語の舞台では様々な種族が存在し、それぞれのしきたり・因習、それに反する個と言うものが、きちんと書き分けられていると感じました。

 

◯そして、最終巻

もともと、このシリーズは3部作でしたが、作者の構想が大幅に膨らみ、4部作となりました。最終決戦からは、ノンストップで読みふけりました。僕には、納得の行く結末でした。ネタバレ過ぎるとマズイと思うので、ここまでで。

先ほど、テンプレ通りと乱暴な言い方をしましたが、この作品もファンタジーらしく、神話の類型を感じます。辺境の地より旅立ち、謎めいた予言を受け、コインの裏と表のように自分と近しい敵と相対する・・・等。同じく、神話の類型を手本にしたスターウォーズとも少なからずタブリます。そして、巻頭の作者の「再び、この地に戻ってきたいと考えている」との言葉・・・。僕は、少年漫画のラスボスよろしく、凶悪なシルエットとして深くは描かれなかったガルバトリックスの過去編がスターウォーズエピソード1・2・3のように書かれるのではないか・・・と予想します。